転職を考える理由は人によってさまざまですが、いまの仕事が向いていないと思うから「向いている仕事を探すために転職したい」という方もいるのではないでしょうか。
もしあなたもその一人であれば、それを理由として安易に転職に踏み切ることは少し思い留まってください。
転職先の仕事もあなたに向いていないと感じる仕事であれば、その転職は無駄になってしまいませんか?
いまの仕事に向いていないと自ら考える人は、何が自分に向いている仕事なのか自分自身でも理解していないケースが多いのです。
そもそも、向いている仕事は転職という手段によって簡単に見つかるようなものではないのです。
向いている仕事がわからない人にどうやって自分に向いている仕事を作るかについて、キャリア形成の観点も交え説明します。
1. いまの自分を振り返ってみる
1)何をしたくていまの会社に入ったのか
あなたが、いまの会社に入った理由をよく思い出してみてください。
いくつかの選択肢の中から、「安定して、給与が良く、休日が多くてそこまでしんどくない仕事ができ、自分にやさしてくれる会社」だからという理由で選んだかもしれません。
しかし、会社に入る以上は仕事をするためですから、どのみち働く以上はその会社の仕事に対して、あなたは少なからず「やりがい」を求めていたのではないのでしょうか。
組織に属したビジネスパーソンという仕事を選ぶ多くの人にとって「やりがい」の基本は、「会社のため、世のため、人のため」といった綺麗ごとなどではなく、「自分のため」が本音だと思います。
そして、「自分のため」に「やりがい」を感じることができる仕事こそ、あなたにとって自分に向いている仕事であることは共感していただけると思います。
突き詰めれば、この会社ならば自分に向いている仕事ができると少しでも考えたから、あなたはいまの会社に入ったのではないのでしょうか。
2)転職が頭をよぎる動機を深く分析してみよう
次に、あなたが転職を考える理由を振り返ってみてください。
人間関係や収入などさまざまな理由があるかも知れませんが、もしあなたが「いまの仕事が自分に向いてない」と思うから転職したいと考えているのであれば、一度立ち止まってあなた自身が向いている仕事は何か自問自答してみてください。
これに対して、すぐに具体的な仕事が思い浮かばない、あるいは客観的にみて非現実な仕事しか思い浮かばないのであれば、あなたは自分に向いている仕事がわかっていないにも関わらず、ただ現状から逃れたい一心で転職という手段を選ぼうとしているだけなのかもしれません。
「自分探し」という行動がありますが、夢中になりすぎると後で取り返しがつかないくらいに、限られたビジネスパーソン人生の時間を浪費してしまいかねません。
この自分探しを「向いている仕事探し」に置き換えれば、安易な転職が自分の人生にどのような結果をもたらし得るか、想像がつくのではないでしょうか。
もし、自分に向いている仕事がわからないにも関わらず転職を考えているのであれば、そもそも向いている仕事の意味とは何か、さらにはキャリアに対する感覚や理解が曖昧なのかもしれません。
2. 向いている仕事とキャリア形成
1)キャリア形成の2つの意味(社外と社内)
早期に退職する若手社員から、転職する理由のひとつとして「キャリア形成のため」という言葉を多く聞きます。
このキャリア形成とは、一般的に大きくふたつの括りがあります。
- 自分の向いている仕事の専門スキルを伸ばし、他社でも通用する人間になること
- 社内のさまざまな業務を幅広く経験し、上級管理職になること
しかし、若手社員についてはキャリアと言う言葉のみに踊らされ、このふたつの意味が明確に区分されず混同し、さらには誤解しているケースが多く見受けられます。
その背景としては、彼らには会社や世間から何かを与えられて当然という考えが根底にある殻といえるでしょう。
- キャリアとは、与えられた仕事を通じて何を残したか
- キャリア形成の基本は、会社主導ではなく自分で行うもの
という認識が薄いためと考えられます。
2)向いている仕事は自分主導で形成するもの
あなたに向いている仕事とは、会社からそっくりそのまま与えられるものでもなければ、道に落ちているように転職先で見つかるものでもありません。
したがって、あなたのキャリア形成の基盤となりうる向いている仕事を作る最大の近道は、会社から無条件に与えられている仕事に主体性をもって真摯に取り組み、それを自分の向いている仕事に発展させることではないでしょうか。。
なぜなら、自分に向いている仕事とは、あなた自身が経験してみないと分からないからです。
3)やりたい仕事が、向いている仕事ではない
あなたがやりたいと考えている仕事とは、必ずしもあなたに向いている仕事とは限らないのです。
あなたが本当に就きたかった職業を思い出してください。
極端な例ですが、あなたが昔プロ野球選手になりたいと考えていたとすると、なぜいまは会社員なのでしょうか?
それは、あなたがプロ野球選手よりは会社員でいるほうが自分にとって現実的であると、どこかの時点で割り切ったからではないでしょうか。
あるいはプロ野球選手になるために、一心不乱に練習や鍛錬に取り組んだでしょうか。
あなたがプロ野球選手になりたい一心でアピールしたとしても、戦力にならないとの判断から、諦めたり向いていないと考えたのではないでしょうか。
しかし、あなたがいまいる会社は、あなた自身の適性をみた上で、あなたなら会社の仕事を任せられると判断したからあなたを採用したのです。
だからこそ、まずは目の前の仕事を達成し得意分野に発展させることで、それをあなたの向いている仕事としてキャリアの核に据えることが現実的ではないでしょうか。
4)向いている仕事とは、自分の得意分野
あなたに向いている仕事とは単純に考えると自分自身の得意分野、つまりあなたの能力が一番発揮される分野であると考えられます。
ここでいう能力の大半は、特にビジネスの世界では生まれもったものではなく、後から自分の努力によって身についたものが、大半を占めると言われています。
そして、交渉力や行動力などカテゴリーが数多くある能力の中で最も重要なものは「主体的に努力を継続する能力」と言われており、体格や運動神経のように生まれもった身体能力でなく、自分自身で向上可能な能力だと言われています。
「与えられた仕事」に「主体的に努力を継続する能力」を掛け合わせることで仕事に良い結果が出て、与えられた仕事に「やりがい」も感じるようになり、それがあなたに向いている仕事となるのです。
さらに、この過程を深化させることで仕事をより広く深く極め効率的に行うことが可能となり、空き時間を作り出すことができます。
この空き時間に資格の取得や副業などを行うことで、あなたの隠れた才能を高めることができれば、あなたの向いている仕事に一層の磨きがかけられることになります。
3. 向いている仕事を作るために、転職は必ずしも必要ではない
1)そもそも、自分が100%満足できる仕事など存在しない
いま与えられている仕事に真摯に取り組むことができなければ、向いている仕事ができないことはご理解いただけたかと思います。
しかし向き不向きに関わらず、いまの仕事に満足できないからという視点で、転職したいと考える人も少なからず存在します。
そもそも、100%満足できる仕事などこの世には存在しないと捉えるべきでしょう。
仮に100%満足していると断言する人がいれば、それはほんの一部の人たちです。
2)転職を繰り返しても向いている仕事が見つかるわけではない
自分に向いている仕事とは自分が100%満足できる仕事ではなく、「大きな命題を自ら理解し、自分の目標として納得し、達成するための創意工夫を凝らし、絶えず挑戦して、その結果として身についた仕事」なのです。
よって、この過程を経ず自分が満足できないからと言って渡り鳥のような転職を繰り返す癖がついてしまったら、永遠に向いている仕事も見つからずキャリア形成など不可能となるでしょう。
3)向いている仕事とは、自分が何かを残せた仕事
あなたに向いている仕事とは、あなた自身が何かを残した仕事であり、その積み重ねこそがキャリア形成でありイコールとなるのです。
会社という枠組みに置き換えれば、どのような理由でその会社に就職したかは関係なく、就職した会社で「何を残し何を身につけたか」が、キャリア形成そのものです。
そして残すことができた仕事こそ、あなたに向いている仕事なのです。
向いている仕事作りやキャリア形成とは、何も異なる会社を渡り歩くことで可能となるわけではありません。
まずは与えられた環境のなかで課題を達成することが、入り口なのだということを強く認識していただきたいと思います。
いまの仕事に全力投球してみよう
会社に就職して何年か経過すると、「この仕事は自分に向いていないのではないか」と考えてしまう人は多いものです。
しかし、仕事が向くか向かないかは自分で判断しないほうがよいのです。
だからこそ安易に転職に走らず、そこで立ち止まってみる勇気を持ってください。
そして目の前の仕事により一層の全力投球をして、それを自分に向いている仕事に変えてみてください。
自分に向いている仕事を作ってからでも、転職を考えるには遅くないと思います。
それがあなた自身にとってプラスの転機となる可能性も、十分にあります。
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あなたが転職すべきかどうか、しっかり判断できますように。