後輩社員の指導に悩んでいませんか?
研修を終えた新入社員が職場に入ってきたり、自分の部署に後輩の社員が配属されたら。
ここは先輩として、いっちょ仕事のデキるところをみせたい、そして新人や後輩たちを早く一人前の仕事が出来るように育てたいもの。
後輩から頼られ、上司からは頼りにされる先輩社員になりたいと思っているけれど、上手くいかなくて悩んでいるあなたのために、後輩の指導で実践すべき大切なことをまとめました。
後輩指導のポイントはどこにある?
教育、育成で大事なのは、まず教える側が教わる側から信頼されること。
信頼される先輩社員になるためには、先輩として後輩が認めるだけの能力を発揮する事が大切です。
そして、後輩から見て重要な能力の種類を挙げると大きく三つに分けられます。
- 後輩を一人前のレベルに育てあげる育成力
- 後輩の実際の仕事での頼れる先輩としての実務能力
- 後輩および部署の直属の上司とのコミュニケーション力
順を追って見て行きましょう。
1. 後輩、新入社員に仕事を教える教育力
後輩が仕事のできる一人前の社員に育つかどうか、それは本人の努力はもちろんですが、先輩であるあなたの力もそれに大きく関わってきます。
- いかに分かりやすく仕事を教えられるか
- いかにその仕事が重要だと伝えられるか
が大切です。
1)後輩、新入社員への仕事の教え方
いかに分かりやすく教えるかが重要です。
それぞれの後輩の性格、現状のレベルに合わせた教え方が必要となり、マニュアル一色なのは厳禁です。
- 他の何かに例える
- メモを取らせる
- 過去のあなた自身の覚え方を教える
など、その仕事を覚えるための秘訣や工夫をいろいろと考え、それを後輩にしっかりと伝えるといいですね。
ここでの注意点は、覚えるスピードは人によって違うということを把握しておく事です。
「まだ覚えられないのか」「自分はすぐに出来たのに」こういった言葉は後輩の反感を買います。
覚えの遅い後輩に関しては、教え方を変えるなど教育の仕方を工夫して、時間をかけて一人前に育ててあげましょう。
「一人ひとりのレベルをしっかりと分かっている」
そう後輩に感じてもらう事で、丁寧に教えてくれるいい先輩として評価されます。
2)後輩、新入社員へ、仕事の重要性を伝える
新入社員や新しく部署に配属されたスタッフは、教えられた仕事をただひたすらとこなすだけです。
さて、先輩であるあなたの場合ですが、同じように仕事をこなすだけではただ仕事の早い先輩としか言えません。
ただ仕事内容を熟知しているだけでは、後輩から頼れる先輩と思ってもらう事はできないです。
- その仕事をする事にどんな意味があるのか?
- いまやっている仕事はどれくらいの利益があるのか?
- いまの仕事をしっかりこなさないと、どんな問題が起こり得るのか?
・・・そういった知識を持ち、仕事の重要性も後輩にしっかりと伝えられる事が、先輩としては大切です。
例えば製造業において、ある箇所をボルトで締めるとします。
その箇所を締めるのを知っているのも、ミスをせずに確実に締められるのも、先輩としては当然です。
それだけでなく、ここを締める事に何の意味があるのか締め忘れたらどんな問題が起こるか、こういった作業ひとつ一つにおいて、その意味の重要性を知り、それを伝えられるのが信頼される先輩です。
2. 先輩社員としての実務能力
あなた自身のレベルが指導するにふさわしいものであるかは大切な要素です。
また、実際の仕事の場面においては、チームで動いたり仕事を任せたり、後輩に指示を出す機会も多く存在します。
その時に、仕事のデキる先輩と思われるかどうかが肝心です。
3)あなた自身のレベルの向上
自身のレベルの向上に努めない先輩は、後輩から見ると先輩の立場を利用して仕事で楽をしているように見えます。
これでは信頼されません。
先輩であるあなた自身も、日々レベルの向上に努めなければなりませんよ。
- より効率のいい仕事方法を探す
- 後輩が仕事をしやすいように仕事場の配置を変える
など、職場に慣れた先輩ならではの仕事の改善点を考えるもいいですね。
仕事内容によっては、どうしても後輩に任せきりになってしまう仕事も出てきますが、そういった仕事も時には先輩であるあなたもこなすようにしましょう。
うっかり仕事内容を忘れたなんて事には絶対にならないようにしてください。
最低でも後輩がやっている仕事内容は全て把握している、さらにそのどれにおいても後輩を上回るレベルでこなせる事が大切です。
後輩も成長していきますし、経験を積むほどレベルは高くなっていきます。
そんな後輩の成長に負けないよう、先輩であるあなたも常に自身のレベルの向上に努めましょう。
ただし、いざ抜かれそうになっても、後輩の足を引っ張ったり頭から押さえつけたりしたら、それは最低の先輩です。
もし後輩がものすごく優秀だったら、それを褒め、負けないように頑張ることは当然ではありますが、素直にその能力を認め、仕事をどんどん任せてしまうことも大切です。
将来、管理職となった暁には、自分より優秀な部下にいかにパフォーマンスを発揮させるかが問われます。
後輩を教育する役割は、そのためのあなた自身の訓練でもあるのです。
4)後輩、新入社員への的確で迅速な指示
先輩ともなると、何かと後輩に指示が必要な場面に遭遇します。
チームのリーダーとして、仕事の指示をすることも先輩であるあなたの役割。
そんな時にしっかりとした指示を出せば、後輩からの信頼を高める事ができます。
逆に後輩の不安を煽るような指示を出してしまうと、頼りない先輩と判断されてしまいます。
間違った指示を出しても直接文句を言われる事はほぼないでしょうが、指示方法を誤ると、内心ではあなたに対して不満だらけになってしまいます。
重要なのはまずは指示の的確さです。
間違いのない指示を後輩が分かるように伝える事が大事です。
例えば二つの仕事が同時に来たとして、それぞれの期限や難易度を踏まえた上で、仕事の優先順位を決めて指示をする事を意識しましょう。
あなたの指示どおりに仕事を進めた結果、どちらの仕事も効率よく終えられれば後輩は納得します。
その繰り返しが信頼へと繋がっていくのです。
こうした的確な指示を意識するのと同時に、そんな指示の迅速さにも意識するといいです。
的確な指示をいかに迅速に繰り出せるか、それはあなたの素質はもちろんですが、それ以上に長年の仕事経験が強く活きてくる場面です。
指示を出し、時には適切なサポートもすることができれば、さすが経験豊富な頼れる先輩だと後輩は感じて、信頼感が生まれます。
3. 後輩、新入社員とのコミュニケーション
先輩と後輩との関係を良好に保つのに最も必要なのは、お互いのコミュニケーションです。
良好な関係を築けば、後輩も先輩の存在に気を使いすぎる事がなく、最大限の力を発揮できます。
悩みや不満があった時に、先輩であるあなたに正直に打ち明けてくれるようになります。
5)本音で接する
後輩とのコミュニケーションをうまくとるコツは、何よりあなたが本音で後輩と接する事と、後輩の意見にしっかりと耳を傾ける事です。
さらには後輩の上司への意見をきちんと伝え、後輩と上司との橋渡し役を上手にこなす事です。
先輩だからと言って、会社の見本になるような立派な言葉や意識を持つ必要はありません。
いくら先輩とは言え、あなたは一人の人間ですし仕事で嫌な事があったり間違えた経験が過去にありますね。
そんな一面を隠さずに後輩と接する事で、後輩はあなたが本音で接していると感じます。
あなたが本気で接すれば後輩も本気であなたと接するようになり、ウソのない良好な関係が築けます。
- 過去の失敗談
- 休日出勤や残業の嫌さ
など、時にはそんな一面を会話の中でさらけ出してみてください。
例えば後輩が失敗した時、注意しなければいけないのは当然です。
しかし、その失敗と同じ失敗をあなたが過去に経験していれば、それを伝え解決策を伝えられます。
また、どうしても仕事では厳しく接しないといけない状況にある場合は、昼休憩や朝の出勤時など、仕事中以外の時間では後輩と対等な立場で接するのもいい事ですね。
6)後輩の意見を聞く
後輩は立場上、どうしても先輩に意見を言いにくいものです。
このため、コミュニケーションと言っても、一方的に先輩のあなたが話すだけというパターンも多いでしょう。
しかしそれではコミュニケーションがとれているとは言い難く、内心後輩も今の状況が息苦しいはずです。
そこで、後輩が意見を言いやすい環境を作る事をまず心がけましょう。
具体的な環境作りの方法としては、例えば積極的に挨拶をするのも効果的です。
後輩から挨拶をするのが当たり前、そんな偉そうな態度をとっていては、後輩も緊張してしまいます。
もちろん先輩から挨拶をするのが当たり前という事もないですが、立場の違いはこの際考えず、出勤時、後輩の顔を見かけたら積極的に大きな声で挨拶する事は心がけましょうね。
また、後輩に対してはどちらかというと聞き手に回る事も大切です。
先輩であるあなたは、その気になればいくらでも後輩に意見を言う事はできますが、後輩が意見を言う機会はそうはありません。
そのため、せっかく後輩が意見を言った時は例えそれが見当外れな意見だとしても、しっかりと本気でその意見を聞く姿勢を見せるべきです。
そうすれば後輩は先輩のあなたの事を話しやすい相手と認めてくれるので、悩んでいる事や初歩的な質問でも、躊躇する事なくあなたに聞けるようになりますよ。
7)後輩の正しい叱り方
後輩を叱る時は、威圧的や感情的になってはいけません。
これらは怒りの感情に等しく、怒ると叱るでは全く意味が変わってきます。
後輩が怖がったり反発しないよう、しっかりと指摘した意味が分かるように冷静になって叱りましょう。
また、叱られた後輩の気持ちも考え、いつまでもそれを気にしないように配慮してあげる事も大切です。
そのためには、いくら厳しく叱った時でも、その後は叱った後輩に対して普通に接してあげましょう。
さらに、叱った時に後輩が反発、不満を抱かないようにするためには、先輩であるあなたの普段の態度も大きく関わってきます。
一つは叱るだけでなく、いい仕事をした時にはしっかりと褒める事です。
もう一つは、あなた自身がミスをした時には、例え後輩が相手でも自身の非を認めて謝罪する。
これらの態度を普段から心がける事で、実際に後輩を叱った際に少なくとも叱る行為自体においては、不満を抱かれたり反発される事はほとんどなくなります。
8)職場の上司との橋渡し役をこなす
先輩であるあなたにも、その上に上司が存在します。
一方後輩としては、先輩のあなたですら緊張する相手になるので、さらにその上の上司に対しては、声すら掛けられないほど大きな存在となっていることでしょう。
そこであなたは、上司との橋渡し役をこなし後輩からの意見を上司に伝え、上司からの意見も後輩に伝えるよう心がけてみてください。
こうすれば結果的に後輩、先輩、上司と、いわばその職場全体でコミュニケーションがとれるようになります。
後輩としても、先輩のあなたがきちんと意見を伝えてくれている事を実感して、あなたを頼れる先輩と判断し、思った事をしっかりと意見してくれるようになります。
そうなれば、あなたが後輩に慕われるだけでなく、上司もまたあなたを信頼するようになります。
コミュニケーションがうまくとれている事で、職場全体の雰囲気も良くなる効果があります。
後輩との人間関係を築いて職場のリーダーに!
慕われる先輩になるためには、後輩との人間関係が大切です。
これにはお互いの立場の違いが壁になることもあります。
逆にこの壁を超える事ができれば、先輩後輩としての良好な人間関係を築く事ができます。
そのためにはあなたが先輩として
- 認められるだけの実力を見せる事
- 親身になって仕事や社会人としての役割を教える事
- 後輩が本音で接してくれるよう、あなたも本音で接する事
- 後輩とのコミュニケーションを大切にする事
が大切です。
後輩をしっかり育てれば、あなたの仕事の負担も小さくなり、その指導力を買われて昇進が近づきます。
将来の管理職へのステップアップ、指導する立場の練習の機会が後輩の教育という役割です。
これをしっかり認識して仕事に取り組むかどうかで、その後の社内での立場がまったく違ったものになります。
いまどき新入社員の教育指導は、
→「「ゆとり世代・さとり世代」新入社員教育 指導のポイント9」
後輩や若手社員のやる気をさらに引き出すには、
→「仕事のやる気を引き出しモチベーションを上げる言葉7」
女性社員の後輩の場合は、
→「女性社員の扱い方に悩んでいませんか?言ってはいけないNGワード6」
OJT研修の現場で新人の教育担当になったら、
→「OJTで新人を教育する。現場を叩き込むために大切な8つのこと」
いかがでしたでしょうか?
後輩の指導のコツが少しは掴んでいただけましたでしょうか。
職場に入ってきた新人に、「さすが、先輩!」と言われ、後輩からは信頼され慕われて、その後輩がもし可愛い子ちゃんだったりしたら、折をみて社内恋愛へ・・・となってみたいという人もいるかもしれませんね。
仮に生意気だったり無愛想で困った後輩だったとしても、一緒に業務の目標達成を目指す仲間として、協力しあえるいい人間関係を築きたいですよね。
社内で少し出世して新たにリーダー的な役割を与えられ、部下にも等しい後輩ができたあなたには、後輩の指導役としての役割も与えられました。
その出来いかんによっては、あなたの人事評価にも影響をあたえます。
後輩を一人前の戦力に育てて、あなたもキャリアアップを果たしましょう!
あなたとあなたの後輩たちの仕事がもっと楽しくなりますように。