個人面接の必須対策の最後は圧迫面接です。言葉だけでも嫌なイメージがありますね。
パワハラまで行かない限り、ここは良い意味で志望意欲を試されていると思い毅然と向かい合っていかなければなりません。
また、圧迫面接とは質が異なりますが、時に質問の意図を疑いたくなるような「正解のない質問」を投げられることもあります。
どちらも実際に存在する就活質問として、いかにしてやり過ごせばいいのか解説しましょう。そして、面接を締めくくる最後の「逆質問」についても触れておきたいと思います。
1. 圧迫質問とは
圧迫質問は、もともと企業側が学生の志望意志をしっかり確認したいがために、強めの言葉を使ったり、突き放すような態度で質問をしたりすることを言います。
しかし、「圧迫」の意味は、質問をする企業側より、むしろ「圧迫されている」と感じる就活生のほうが強く感じているといえます。
(1)良い意味で「試される意欲や考え」
圧迫質問の例をあげてみましょう。たとえば、志望動機を尋ねられ、志望企業に憧れている良い点を述べたら突然、

①「ふ~ん、でもウチの会社、あなたが思っているほどイイ会社じゃないよ!」
と言われたらどう感じるでしょう?まさか、「本当ですか?」と言ってしまうことにはならないでしょうか?
また、学生時代の専攻科目を問われ、江戸時代の文学について研究内容を述べたら、

②「へ~、結構古い時代のことやっているんですね?何か役に立つことあります?」
と言われました。
「そうですよね~。今の時代に役に立つのでしょうか、どうなんでしょう?」と思わず言ってしまったらどうでしょう?
これを尋ねた面接官が、
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①「実際に自社のことをイイ会社とは思ってない。」
②「歴史は現代には意味がない」
という本音があって、この質問をしたなら別ですが、普通はそんなことを面接質問でボヤこうとは思っていません。
どちらの質問も、答え方にちょっと窮するような質問でプレッシャーをかけ、反応を見ていると考えるのが一般的です。したがって、面接官が質問に期待する答えとしては、

①「とんでもございません。私が御社の企業研究をした結果では今申し上げたことは間違いないと確信しております。たとえば、〇〇についてははるかにライバル社を凌ぐものであり、素晴らしい企業と信じております。」

②「江戸時代の彼の作品は、近代文学の基礎を気付いたもので非常に影響力の強いものがあります。温故知新の言葉を出すまでもなく、文学に限らず歴史を紐解くことは非常に意義のあることと考えます。御社の歴史にしても…」
つまり、しっかり反論するなり言い返すことで自身の志望意欲の強さや考えを確認しようとしているのです。面接の場で突然こういった質問を受けると、さも自身が否定されたようで大変気分の悪いものですが、これが本来の圧迫面接と言われる目的です。
(2)ハラスメントとの違い
しかし、中には心無い面接官もいて、文字通り「圧迫」や「嫌味」「嫌がらせ」、さらにはそれって優位な立場からの「ハラスメント」じゃないの?と思われる質問もあるので注意が必要です。

「他はどこを志望しているの?どちらかと言えば、Y社を受けた方がよくないですか?」

「そんな答え方じゃ、どこの企業もなかなか面接は受からないヨ。(後は、長々と説教)」

「地元に帰って企業探しをしたほうがいいのでは?」
いずれも共通しているのは、自社以外の受験を薦め、不要な説教をしている点です。面接は選考なので、自社に向いていなければ不採用と判断すればいいものを、余計なことをいうのは圧迫面接でもなんでもなく、明らかにハラスメントの要素を含んでいます。
(3)質問する態度からわかる真意
面接者のストレス耐性を試したり、反論できるかどうかを見たりする場合は、当然面接者に対してある程度の愛情があるはずです。この場合、質問をしている時の態度や言葉遣いから、企業人としてのマナーや礼儀を感じることができます。
しかし、緩めたネクタイ、腕まくり、崩れた質問態度と一緒に発せられた圧迫質問は、ハラスメント的な意味合いが濃くなります。「そんなんじゃ面接は受からないよ!」という言い方は、入社できたとしても、上司から「そんなんじゃ、営業予算は達成できないよ!」と言う体質と変わりません。負けない心で、真意を見極めるようにしましょう。
2. 正解のない質問対策
性格占いやアンケートのように、正解はなく、質問に答えるプロセスやそれを選んだ理由で着想や発想力を見ようとする質問があります。消費財メーカーやマスコミ、出版、小売業など消費者に近く、発想やアイデアを大事にする企業に多いようです。
(1)「たとえて言うと」シリーズ
正解のない質問でよくあるのが「たとえて言うと」シリーズです。
「あなたを色にたとえると何色ですか?」から始まり、動物、四文字熟語、家電といった事例があります。「赤」と答えようが「黄色」と答えようがどちらでもよくて、問題は「なぜその色なの?」「なぜその動物を選んだの?」が質問者の知りたいところです。
準備するものでもないので、突然にちょっとためらいますが、答える時の基本を「自己PR」や「性格の長所」においておくとストーリーのある答えができます。「行動力」を自己PRしたい場合は、「赤」(あるいは「チータ」)としておき、あとで色や動物と関連付けをします。

「ハイ!私を色(動物)に例えると『赤』(チータ)です。なぜなら、常に積極的な行動力が自慢なので、夏の熱さ(素早さ)から赤(チータ)を選びました。」
(2)「もしも…だったら」シリーズ

「もしも宝くじで10億円あたったら何に使いますか?」

「もしも自分にキャッチフレーズを付けるとしたら何と付けますか?」
これも発想や着想の面白さと、答えた内容との論理性などを見ています。あるいは、困る様子を見ながら、どんな表情を見せるのか、茶目っけなのか真剣なのか、困り果てるタイプなのかなど、半分楽しみながら観察しています。
困り果てて無言にならないよう、シミュレーションをしておきます。前段のように、自己PRに絡める方法と、もうひとつの方法は志望企業や志望理由と関連付けて答えると受け狙い的にも有効です。

「ハイ、そのまま御社の株を買います。また、経営者になって増資に使います。」

「ハイ、御社への志望理由を自分のキャッチフレーズにしたいと考えます。『一心不乱』『勇猛果敢』といったところです。」
3. 面接の締め括り「逆質問」への対応
面接の締めくくりとして、面接官から、

①「こちらからお聞きすることは以上ですが、◯◯さんから何か質問はありますか?」

②「質問は以上ですが、言い忘れたことや言い切れなかったことはありますか?」
と聞かれることがあります。これが、いわゆる逆質問です。対応方法の例を紹介しましょう。
(1)質問は常に準備しておくこと
何かあればという前提なので無理に尋ねる必要はありませんが、せっかくの機会だし、企業への関心度をPRできる機会でもあるので、是非、質問するといいでしょう。
ただし、言われて考える時間もそんなにあるわけではないので、事前に用意しておくのが一番です。
ただし、もともとの質問タイムではなく、あくまで面接終了後のすき間なので、質問選びには注意しましょう。
たとえば、企業説明会や企業案内の冒頭にあるような、「企業理念を教えて下さい。」とか、「主な事業内容について教えて下さい。」といった、重い質問、調べればわかる質問は不適です。タイミングの良い質問が適しています。
<タイムリー性のあるニュース>

「つい先日、決算発表(新製品発表)のニュースがあり拝見いたしましたが、組織改編(ライバル社との差別化)で具体的に考えておられることはあるでしょうか?」
<面接官自身への問いかけ>

「本日は面接ありがとうございました。御社の会社案内に先輩の声として、自由な企業風土という言葉がありました。今、そちらにいらっしゃる面接官の方も感じていらっしゃるのでしょうか?」
<「特にございません。」も大丈夫>
面接の締めくくり言葉であるので、逆質問をしなくても全然大丈夫ですが、ただ「ありません。」だけでは不愛想感があります。そこで、
「ハイ!ありがとうございます。」と、一旦、質問時間を作ってもらった配慮に感謝しつつ次のように結びの言葉を述べるといいでしょう。

「本日はお忙しい中、面接ありがとうございました。質問は特にございません。選考の程よろしくお願いいたします。」
(2)言い忘れたこと・言い切れなかったこと
質問ではありませんが、これは最後のPRチャンスととらえ、面接中の答えと重なってもいいのでPRに使うといいでしょう。

「ハイ!ありがとうございます。自己PRの折、『負けず嫌い』の性格についてお話しさせていただきましたが、御社が第一志望で入社したい気持ちはずっと変わっておりません。どうぞご選考よろしくお願いいたします。」
圧迫質問にムキにならない
圧迫面接も正解のない質問も、採用する企業側の強みで、時におどろくような質問が出てくる可能性は十分あります。圧迫質問でプレッシャーをかけられ、ムキになってしまうと残念ながらその時点で負けとなるのが就活です。
しかし、企業に選ぶ権利がある一方で、こちらも「選ぶ権利」「断る権利」があります。不当な質問と思えば、この程度の企業だと考え見切りをつけるのもひとつです。
また、一旦受け入れた後、もっといい企業を探せばいいと開き直るしたたかさも必要です。
企業選びチャンスは最後まで活かし、自分にとって最良の1社を選ぶのが就活です。くじけずめげずに頑張りましょう。