個人面接の必須対策はいろいろありますが、一番厄介なのが「苦手意識」対策です。
しかし、「厄介」と思っているのは本人だけで、面接官からすると全然大した問題ではないというのが結論です。
一方、面接されるのが好きで、「何でも聞いて!」といった様子で面接に臨んでくる人がいたら、採用する側からすると「欲しくない」人材です。行動より先に口が出て仕事しそうにないからです。
なぜそれが言えるのか、そもそも「苦手意識」とは何か、「緊張」とは何かとは説明した上で、最終的にこうすれば必ず克服できるという方法を解説しましょう。
1. 苦手意識の克服方法
面接が苦手と思う人の理由で多いのが、以下の2点です。
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「何を聞かれるのかわからないので不安だから」
「うまく答えられるかどうか自信がない」
しかし、考えれば誰だって一緒で、質問を事前に知っている人はません。
従って、うまく答えられるかどうか自信がないのはごく当たり前の話なのです。
(1)キレイに話すことよりも、気持ちを伝えること
仮に当日の質問がわかっていればどうでしょう?
たとえば、「志望動機」は間違いなく聞かれる質問です。
応募者のほとんどが考えをまとめて臨みます。そして、案の定志望動機を聞かれて、覚えた通りに答えたとしましょう。その結果は合格かと言うと、そんな簡単に行かないのが面接です。
「巧言令色少なし仁」と言う言葉があります。これは、口が先に立ち言葉巧みに話す人は、愛想だけで取り繕った感じがし心がこもってない様を言います。つまり、意欲も自信もないくせに言葉巧みに話しても結局、気持ちは届かないことを意味します。
むしろ、緊張しながらでも身振り手振りで「一生懸命さ」でアピールする人の方が高い評価になるというのが現実です。
(2)神経質になりすぎない
面接に苦手意識を持っている人にはもうひとつ理由があります。それは、過去の手痛い失敗経験です。
特に真面目な人は、面接で失敗しないよう想定質問をいっぱい考え、それぞれ自分なりに模範解答を考え本番に臨みます。
すべて想定通り質問が来て、まずまずの出来映えになれば大きな自信になるのですが、現実はそうはいきません。
準備し過ぎた人ほど、想定外の質問で真っ白になり、それが自信喪失になっています。原因は、想定質問に神経質になり過ぎてしまったからです。
たとえば、「自己PRして下さい。」という問いかけに対しては一生懸命に準備したが、本番で「他人に最も自慢できることは?」と尋ねられ、真っ白になるようなものです。準備し過ぎて余裕をなくした結果と言えます。
(3)ほどほどの準備で満足
苦手意識の克服で大事なことは、ひとつはうまく言おうとする必要はなく、一生懸命さを伝えようとする気持ちが大事だということ。
もうひとつは、面接の想定問答で完璧はありえないということ。
面接の質問はいわば面接官の気まぐれでちょっとずつ言葉は変化するので、想定質問はほどほどにします。これだけでも、肩の力はスッと抜けるはずです。
一字一句を書き込んだメモを覚えるのではなく、箇条書きにしておくと臨機応変に言葉を繋ぐことができます。
そして、繰り返しになりますが、面接を受ける人の心理はみんな一緒で、冷や冷やドキドキしながら面接を受けています。この心理を「私だけの苦手意識」というか、「誰にでもある心理」と思うかで、面接の受け止め方は大きく変わります。
2. 緊張を「緩和」する方法
次に、苦手意識を「緊張」という点から見ていきましょう。「私ってすぐ緊張するタイプ」で、なかなか思うように発言できないという声をよく聞きます。
しかし、緊張は頭の回転をよくする大切で自然な反応なのです。そこで、緊張しない方法を考えるのではなく、緊張を緩和しつつ、いつもの力を発揮する方法を考えることが大事です。
(1)あえて緊張感を表に出す
面接を受ける人が一番悩んでいるのが、緊張していることを弱者の現れと思い、面接官にバレてしまうのではないかと恐れることです。
しかし、冒頭述べたように、面接官にとって志望者が緊張しているかどうかは大した問題ではありません。なぜなら、面接を受ける人は全員緊張するものだと思っているからです。
そこで、是非おススメしたいのが、緊張をなくすのではなく緊張を緩和する方法です。
- ①手が汗ばんできたり、額に汗が滲んできたりしたら「失礼します。」と言ってハンカチを取り出し、汗を拭くこと。
②「今から面接を始めます」と言われたと同時に、「どうぞよろしくお願いいたします。」と言って、大きく深呼吸をし呼吸を整えること。
③「緊張していますか?」と言われたら、「ハイ!緊張しています。」と素直に認め、抵抗しないこと。同時に肩を上下にゆすり息を大きく吸うこと。
いずれも共通しているのは、「緊張を認めること」「緊張を面接官に示すこと」「緊張を表に出すこと」です。
(2)緊張の諸現象は「私の勝手」
声が震える、喉が渇く、足がビクつく、脇の下を汗が流れるなどといったことは、本人に自覚があっても、面接官にはまずわかりません。
緊張から来るいろいろな体の症状は、「私の勝手」です。そのことにより、誰かに迷惑をかけているわけでもないし、聞かれた質問にさえ答えていれば全然問題のないことなのです。
ちなみに、面接官がそれに気づいたとしても、この人も普通に緊張しているなと思う程度のことで大した問題ではありません。大切なことは、緊張を面接官に見せないようにしようと無駄な抵抗をしないことです。
3. 緊張を克服する模擬面接
個人面接に強くなる方法は、模擬面接を繰り返すのが一番です。言ってみれば、苦手意識も緊張も就職面接の不慣れからくるものなので、模擬で実施してさまざまな観点から指摘してもらうのが最大の克服方法です。
(1)元採用担当者による模擬面接
模擬面接は、民間の就職サービス会社が実施している(多くは有料)ところもありますが、一番いいのは所属の学校のキャリアセンターです。予約方法や開催頻度はいろいろ差があると思いますが無料で実施してくれます。
もうひとつは、厚生労働省管轄の公的機関である「新卒応援ハローワーク」です。別記事で紹介もしましたが、これは新卒の就活対象者専用のハローワークです。公的機関なので無料で、予約さえすれば何度も実施してくれます。いずれも面接官は、元私企業の採用担当者などが行うので適任です。
(2)模擬面接の進め方と活用方法
キャリアセンターにせよ新卒応援ハローワークにせよ、模擬面接の進め方は一緒で、文字通り実際の面接場面を想定して実施されます。
何より心強いのは、模擬面接とはいえ面接官はかつて民間企業で学生に面接を繰り返し実施し選考してきた人たちという点です。
つまり、面接の受け方、答え方に関して、「こうすれば評価を上げられる」というコツを知り尽くしている人たちに模擬面接をしてもらえるのは良い経験になります。
<進め方>
- 事前打ち合わせ
志望者が実際に企業に提出したエントリーシートや履歴書を使い事前に打ち合わせ。 - 志望企業の情報をインプット
近々に面接を予定している志望企業のプロフィールや希望職種などについてヒヤリングし、模擬面接官がインプットしておく。 - 実際に模擬面接を実施
ひと通りの流れも、パーツ部分も含めて実施。 - 結果のフィードバックとアドバイス
<模擬面接のチェックポイント>
- 面接室への入室から退室までの流れとマナー
- 模擬質問に対する回答内容の出来映え
- 回答中の表情や態度
いずれも、良かった点、悪かった点、もっとこうすれば良い点など。
(3)個別の要望も受け入れてくれる
模擬面接のメリットは、何と言ってもリピートができることです。
たとえば、入室時の表情が伴っていないからやり直そうとか、声が小さいのでその場での繰り返し指導などがあります。また、回答にかかった時間の長短から、回答内容までその都度おさらいをしてもらえるので、答え方や弱点の矯正ができます。
また、模擬面接だからこそできることとして、深堀質問を中心にしてほしいとか、ちょっと圧迫気味な面接をしてほしいといったように、各人のリクエストに応じて模擬面接官がなりきりでやってくれることです。特にこの記事のテーマである、苦手意識や緊張を克服できるように指導して欲しいというリクエストにももちろん応じてくれます。
模擬面接で不安を減らす
面接の苦手意識や緊張は、意識し出すととことん気になるものです。筆記試験なら、時間さえ費やしていけばどこかで着地できそうですが、人間が行う質問と回答なので、どこまで行っても不安が付きまといます。
スポーツに例えると、テニスでも野球でもどこからボールが飛んできてもいいように、いろいろな角度で素振りをします。しかし、頭の中だけでシミュレーションだけして悩むスポーツ選手は絶対にいません。
これだけ素振りの練習をしておけば大丈夫だろう思うからこそ、不安もなくなるのです。
→「【就活】個人面接の必勝対策|圧迫面接と正解のない質問への対策」
是非、模擬面接をして少しでも不安を取り除き、前向きに本番と向かい合って下さい。