内定が取消しになる場合|企業の事情と自己責任

2018.12.19
内定取り消し

内定が取消しになる場合|企業の事情と自己責任

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無事内定式も済んで、あとは来春の入社を待つばかりとなり、残された学生生活を楽しんでいたら飛び込んできた言葉が「内定取消」。

「まさか!」か「やっぱり!」か、はさておいても、かなりのダメージがあることに変わりはありません。

実は、事と次第で自分がその対象者になることがあってもおかしくないのです。
どんな場合に内定取消となるのか、企業側の事情もあれば本人事情もあります。法的な根拠も紹介しながら内定取消になる事例と、今後の対処方法も合わせて紹介します。


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1. 学生側の事情による内定取消

内定取消を通知してくるのは企業の方ですが、その理由が学生側にある事例をはじめに紹介しましょう。

(1)留年は再チャレンジも無理

内定時に出した卒業見込み証明書は、その時に履修している科目の単位取得が前提です。しかし、結果が単位の取得ができずに留年が決定してしまった場合は内定取消となっても仕方ありません。

卒業できないのが判明した時点で、企業は内定取消を言ってきます。半年後の取得が可能だと申し出ても、聞き入れてもらえることはまずありません。

また、次年度に新たに就活をして同じ企業に再挑戦する方法も考えられないことはありませんが、企業は新たな条件で選考します。
従って、前年にいくら優秀な成績で内定をもらった実績があっても何の保証にもならず、むしろ悪い印象しか持たれていないので再チャレンジは無理でしょう。

(2)不祥事やSNS発言も要注意

不祥事といってもいろいろありますが、まず法的な違反や犯罪を起こしていて、それが企業の知るところとなり内定取消をされても仕方ありません。

スピード違反のような軽微なことが原因で内定取消になることはあまりありませんが、これも程度によりけりです。いずれにせよ、内定期間中の行動には十分注意しなければなりません

また、最近はSNSをやっている学生が多くなっています。
SNSへの投稿は基本的にチェックされていると思った方がいいでしょう。思想も発言も基本は自由ですが、SNSの場合、発言内容には要注意で炎上して個人的な話では済まなくなることも考えられます。極端な発言と影響で内定取消となった事例もあります。

いずれにせよ、問題が起きた場合は、発覚する前に正直に企業に申し出て事情を説明することが大切です。

(3)病気や怪我も程度による

内定期間中の病気や怪我も要注意です。内定時の健康診断書では、「勤務するに差し支えなし」と申告しているので、以降になにか変化があれば申告しなければなりません。
病気や怪我といっても千差万別ですが、たとえば入院を要する状態となり内定期間中の連絡会に出られない場合や、入社時期に影響が出る場合の相談は必須です。

その中で、入社後の仕事にも影響をするような病気や怪我となったら、内定取消となる可能性があります。会社も本人も本意ではないけれど、致し方がないと判断されます。
ただし一方的に取消されないよう、学校や公的機関の第三者を入れて違う雇用形態を考えてもらうなど、善後策の相談をしましょう。

(4)書類や面接での虚偽報告

提出書類の記述内容や面接での発言で、採否を左右する大きなポイントについて虚偽があった場合は、内定取消の理由になることがあります。
わかりやすい例だと、仕事をする上で必ず必要な資格を持っていないのに「持っている」と書けば、内定取消されても文句は言えません。

しかし、オーバー気味に言ったことを取り上げ、それでもって内定取消をされたらたまりません。

たとえば、所属していたクラブの部長と書いたが、実際には副部長だったとか、アルバイトを頑張ったという自己PRが、あまり出勤していなかったことなどが後からわかった場合など、それが内定取消になるかと言えば無理があります。

以上述べてきた、学生側の事情で考えられる内定取消の理由は、留年以外、その程度がいろいろあります。

もし企業の業績悪化が背景にあり、企業が悪意を持ってそれらを理由に内定取消をしようと思ってのことだったら大問題です。大事なことは、必ず学校や公的機関に相談することです。

内定取消し 相談

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2. 企業側の事情による内定取消

もっとも不可抗力で驚くのは、身に覚えがないのに通知される、企業からの内定取消の申し入れです。信頼できる企業と思い志望し、内定結果をもらい就活を終えたつもりが、企業側から一方的に内定取消をしてくると驚かないはずがありません。

(1)「経営悪化」という内定取消の理由

就活時にはなんともなかった企業の経営状態がなんらかの事情で悪化し、来春に内定者を採用し雇用する力がなくなった場合です。企業の存続維持のために、いろいろな策がとられる一つとして内定者の採用をしないという企業の判断です。

企業が地震や災害に遭遇し内定時と経営環境がまったく変わってしまったとしたら、これはどんな優秀な経営者でも予想のしようもなく、事前対策を立てようがありません。

しかし、経営悪化がある程度予想できるものは理由になりません。内定を取り消すというのは、労働契約の一方的な「解雇」に相当し厳しい条件があります。

内定取消し 企業側の事情

(2)整理解雇(内定取消)の4要件

内定者とはいえ、入社を確約し労働契約を結んでいるので通常の従業員と同じ扱いをするのが前提になっています。そこで内定取消をするには、「整理解雇の4要件」が適用され、この要件をクリアしないと内定取消はできないということになります。

  • 解雇する対象者の人選が客観的に見て公正・妥当であること
  • 経営上、人員削減の必要性が十分にあること
  • 整理解雇を回避するように経営努力を尽くしたこと
  • 労働者(内定者)と労働組合に説明し協議していること

(3)内定取消の本当の理由は?

しかし、自身に向けられた内定取消がこの要件を満たしているかどうかを判断するには難しいものがあります。以下に、厚生労働省が発行する冊子を紹介しますので、ハローワークに相談するようにしましょう。

参考:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000195464.pdf(厚生労働省「知って役立つ労働法」(1-3.「内定取消」)

また、労働契約法第16条では、

    「解雇(内定取消)は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

とあります。秋に内定を出して、半年の間に経営が悪化する理由とは何か、しっかり聞き出した上でよく相談しましょう。

3. 内定取消を内定辞退にされないように注意

内定取消と内定辞退は一見似ていますが、決定的な違いは主語で、「内定取消=企業」、「内定辞退=学生」です。

つまり、企業が何らかの事情で取消しをしたい時に、学生側の意志で辞退したとすり変えられないよう、そして不利にならないように企業の言い分をしっかり聞きます。

(1)「内定取消」を通知された時の対応

内定取消が考えられる理由として、学生側の事情で4つ(留年、不祥事、病気・怪我、書類虚偽)、企業事情で1つ(経営悪化)、合計5つを紹介しました。

これらはいずれも企業から「内定を取り消したい」という申し入れになります。学生側は、申し入れられた「理由」をしっかり聞き取り、即答せずに「相談したいところがある」と伝え、持ち帰るようにします。

しかし、「内定取消します。」という言い方ではなく、「内定辞退ということでよろしいですね?」と声掛けされた時は要注意です。言い方の例を紹介しましょう。

人事
人事

「申告のあった病気の程度は、当初〇〇さんから聞いていた『健康に異常なし』とは異なり我々としても困っています。つきましては、今回の内定については〇〇さんの方から『内定を辞退した』ということにさせてもらって、よろしいでしょうか?」

人事
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「内定前に提出してもらった履歴書の内容に事実と異なる点があることが判明し、我々としては大変残念です。当社としては、『内定辞退』に相当するものとして処理をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

こういった言い方をされると、迷惑をかけたのが自分なので「ハイ!申し訳ありません。わかりました。」と言ってしまいそうです。

(2)「内定辞退」を求められたら断る

しかし、これには「あれ?」って思いますよね。明らかにこじれた場合の予防線で、「あくまで学生の側から内定辞退の申し出があった」ことにするために誘導している可能性があります。

「内定辞退」にしておけば、前述の「労働契約法第16条」にある「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」にもかかわらず、内定がなかったことにしてしまうことができるからです。

内定辞退は自らの意志で申し出るもので、企業側から迫られて辞退を言うものではないということをしっかり覚えておいて下さい。内定取消の問題は損害補償に繋がることもあり、安易に先走って内定辞退を申し出てしまうと請求ができなくなるので注意が必要です。

内定辞退 断る


内定取消しの連絡があったら、一人で決断しない

内定取消は、仮に自分に責任のあることでも、できれば配慮してもらいたいものです。留年は100%自分に責任があって無理かもわかりませんが、その他の理由は何度も述べたようにレベルによって、法的に取消が有効か無効かに差が出てきます。

また、企業側の言う事情は学生では理解できない部分がたくさんあるので、自分で判断し安直に企業に返事をしないことが大切です。新卒という若年世代に対して、労働法で守られている部分もあるので、一人で即断せずにまずは学校に相談しましょう。

その上で、ハローワークや場合によっては弁護士といった相談先を案内してくれることにもなります。

2018/12/19

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