サービス残業を拒否してもクビにならないための自衛策

サービス残業 拒否する 残業・過労

日本の企業社会には、手当をもらえないのに働くサービス残業という悪しき慣習があります。

最近では過労死問題やパワハラに対する世間の厳しい視線もあり、サービス残業を強要する企業や上司は減りつつありますが、完全に無くなった訳ではありません。

営業ノルマや納期に厳しい業界では大手でも公然とサービス残業を要求されたりします。

拒否すれば、より激しいパワハラやイジメ被害に遭い最悪の場合はクビになる恐れがあります。

そうした最悪の事態を回避しつつサービス残業を拒否するためには、それなりの準備が求められます。

以下に見ていきましょう。


サービス残業を拒否できない背景

1.就業条件が不明確

常勤社員数10名未満の会社には就業規則の作成義務がありません。

有期雇用の場合は雇用契約の締結を義務付けられていますが、零細企業ではそれを遵守していないケースも少なからず見受けられます。

また請負で働いていれば、そもそも契約上は残業という概念がありません。

2.残業時間を記録できない

残業するのは当たり前という雰囲気を醸成して、残業時間を記録させない企業もあります。

勤怠管理システムやタイムカードはあっても、まったく機能していません。

3.明確な残業命令がない

会社側(上司)に残業させているという認識はあるのですが、残業代を払いたくないため明確な残業命令を出さないケースも多々みられます。

終業時間の30分前に「明日の朝一番で10ページのプレゼン資料案を提出してもらえれば助かる」など、残業しなければ絶対にできない仕事を婉曲にお願いベースで発注するなどの手法が用いられます。

4.退勤記録後に仕事を指示される

残業代の予算が決まっていて、実際の勤務時間と無関係に退勤時間を記録させる会社もあります。

一昔前までは多くの企業にこうした慣習がみられましたが、今でも中小企業を中心に予算制を採用している企業が少なくありません。

とくに1か月30時間などの「みなし残業制」を採用している企業では、それを超過する残業を認めない例が多数見受けられます。

5.残業記録を無視される

勤怠管理システムやタイムカードには残業記録があるにもかかわらず、会社側(上司)が何らかの理屈をつけて残業と認めず手当を支給しない場合もあります。

大企業では稀ですが、中小企業の中にはこうした乱暴な行為をする企業も散見されます。

6.パワハラに対抗できない

上記の1.~5.のすべてに関連しますが、上司のパワハラがひどくサービス残業を受け入れざるを得ないという職場もあります。

    「成果を上げるために残業するのは当たり前だ!」

    「オレの許可もなく帰れると思ったら大間違いだ!」

    「お前が働かないせいで納期に遅れたら損害賠償請求するぞ!」

といった脅迫に抵抗できず、サービス残業を続けている人も少なくありません。

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サービス残業を拒否するための準備

1.就業条件の確認

まず、以下の書面により就業条件を確認することが大切です。

労働基準法では、

    ・1週間40時間
    ・1日8時間

を上限に勤務時間を定めることを規定されています。

これに抵触していないこともチェックしましょう。

(1)就業規則

常勤社員数10名以上の企業は、労働基準法に従い就業規則を制定して社員へ周知しなければなりません。

通常は正社員用と契約社員用の2つの就業規則を制定しますが、いずれにも1週間と1日の総労働時間、始業・就業時間、休憩時間が明記されています。

(2)雇用契約書

有期雇用の契約社員の場合は、労働基準法第15条などに基づき雇用契約書に始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇などを明記することが義務付けられています。

(3)36協定

従業員に残業させるためには、その条件を整理した「時間外・休日労働に関する協定(36協定)」を締結して労働基準監督署へ届出なければなりません。

これは就業規則と異なり、常勤社員数が10名未満の会社にも義務が課されています。

(4)請負契約書

請負契約で働く人には勤務時間という概念がありません。

社員と同様に上司の指示を受けて働いている(偽装請負の可能性が高い)場合は、会社に労働契約の締結を求めましょう。

2.残業時間の記録方法の確認

労働時間の管理については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日付基発第339号)で、使用者が講ずべき措置が具体的に示されています。

始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法には、以下の2つが掲げられています。

  1. 使用者が、自ら現認することによりこれを確認し、記録すること
  2. タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること

これらを踏まえ、自社の残業時間の記録方法を確認しましょう。

上司が口頭で命令して残業時間を管理するということはありません。

3.残業命令の確認

本来、残業は上司の命令がなければしないものです。

各人が自らの仕事の進捗状況を踏まえて自主的に残業をする場合でも、当人の申請と上司の承認(命令)がセットで行われます。

なお、上記の平成13年4月6日付基発第339号では、自己申告制により勤務時間管理を行う場合の措置として、

    「自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。」

    「労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。」

などを求めています。

勤怠システムなどで都度(毎日)残業命令(承認)を確認できない場合は、上司から残業しなければできない仕事を命じられた時間と内容、または自ら残業を申請した時間と内容を退勤時間と併せて記録しておきましょう。

4.退勤記録後の残業指示の記録

勤怠管理システムやタイムカードなどにより退勤時間を記録した後に残業を命じられた場合は、その時間と内容をメモすることが重要です。

オフィス入退室記録を入手するほか、メール送受信記録、写真・動画などにより退勤時間を証明できるようにすることも効果的です。

5.未払い残業代の計算

給与明細表と自ら作成した残業記録を基に未払い残業代(計算対象外の残業時間)を計算することも大切です。

単にサービス残業を糾弾するだけでは迫力不足です。

6.パワハラ実態の記録

サービス残業を強要する言動をメモ、録音、動画撮影により記録することは欠かせません。

単独ではなく複数名による記録があれば、より説得力が高まります。

公的機関へ訴えたりする上でも重要な証拠になります。

ざーびす残業 拒否

サービス残業を拒否した後の相談・告発

1.労働組合

はっきり言って日本企業の労働組合は、あまり頼りになりません。

ただし、自分(自分の部署)だけ極端にサービス残業させられている場合は、労使間の暗黙の合意に反する可能性があるため組合が会社側にクレームを申し出てくれる可能性もあります。

2.内部通報窓口

ある程度の規模の企業であれば、コンプライアンス違反等に関する内部通報窓口が設置されています。

サービス残業の証拠を揃えて通報する手もありますが、経営陣の意向に反して通報に対処してくれない恐れもあるので注意が必要です。

3.労働基準監督署

もっとも信頼できる相談先は労働基準監督署です。

労基署には企業に対しサービス残業の改善を命ずる権限があります。

4.弁護士

各地の弁護士会の無料相談窓口に連絡することも一案です。

ただし本格的に相談する場合は、弁護士を選任して報酬を支払うことになります。

5.独立系労働組合

連合の傘下に入っていない独立系労働組合は、当事者の所属企業や職位にかかわらず労働問題を抱えている人の相談に積極的に応じる傾向があります。

ただし、独立系労働組合には過激な行動に出る傾向があるため、相談する際にはある程度腹をくくる必要があります。

6.左翼政党

共産党、社民党などの左翼政党も労働問題の相談に応じてくれる可能性があります。

ただし親身に相談に乗ってもらうためには、党員になるなどして党の活動を支援することが欠かせません。

7.警察署

サービス残業の強要が暴力や脅迫を伴うものであれば、傷害罪や脅迫罪の嫌疑で警察へ届出ることも考えられます。

パワハラが刑事事件として立件されたケースもあります。


しっかり準備してサービス残業を拒否しましょう

拒否

工場、販売店、飲食店などで単純労働に従事している場合はサービス残業の有無を判定しやすいです。

しかし、本社で企画、調査、研究などに携わる人についてはサービス残業と自己研鑽の境界が曖昧になりがちです。

こうした人たちには積極的にサービス残業に応じる傾向もみられますが、それを当然の前提として残業を強要することは許されません。

自分の意思で能力向上のために働くのでなければ、サービス残業を拒否して心身の健康を保つことを考えましょう。

しっかり準備して戦略を練れば、サービス残業の不当性を訴えて不利益を被るリスクを大幅に低減できます。

 
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あなたがサービス残業から抜け出せますように。