未払いの残業代は請求できるの?請求するなら退職前と後どっち? | はたらくす

未払いの残業代は請求できるの?請求するなら退職前と後どっち?

未払い残業代 請求できる? 労働問題その他

たくさんサービス残業をしたのに、残業代がもらえない。

働いたのに賃金をもらえないのはおかしいですよね。

請求する期間にもよりますが、基本的には残業代を請求するなら退職後がおすすめです。

正当な報酬をしっかりもらってから転職する方法を、元人事担当がご紹介します。

なお、本記事で紹介する内容は正社員、契約社員、パート、アルバイト派遣社員にも該当します。
(派遣社員の場合は本記事で指す企業とは、所属する派遣会社を指します。)


1. 本当にサービス残業の残業代はもらえるの?

1)未払い残業代を請求できる例

未払い残業代 請求できる例

「うちには残業代はない」と言われている

これは嘘です。

入社時に「雇入通知書」や「労働条件通知書」、「就業規則」をもらっている(もらっていないのもブラックです)と思いますが、これらの内容が労働基準法を無視した文書は、無効になります。

労働基準法ではこのように定められていますので、口頭であれ文書であれ「うちには残業代はない」と言われたとしても、それは労働基準法違反になるため、社員に残業代を請求されれば企業は支払わなければなりません。

みなし労働/裁量労働制

みなし労働/裁量労働制というのは、営業職やマーケティング職、研究職などで企業の定めた就業時間で仕事をするのが難しい職種に対して、社員に労働時間のコントロールを任せ、仕事がなければ5時間で退社しても12時間働いても1日分の給与が出るシステムです。

このみなし労働/裁量労働制では「労働条件通知書」で1ヶ月または1年の労働時間数が決められていますので、定められた時間数を超えた分を請求することができます。

固定残業代(みなし残業代)

固定残業代(みなし残業代)とは1ヶ月分の給与が「基本給+○時間分の残業代○円」で支払われるシステムです。

つまり、○時間を超えた分は支払われていないため、その分を請求することができます。

なお、自分の給与に何時間分の残業代が支給されているかは、「雇入通知書」や「給与明細」で確認することができます。

年俸制

実は年俸制はあらかじめ残業代が含まれています。

「給与通知書」や「労働条件通知書」などに「1ヶ月あたり○時間分の残業代○円を含む」という文言が記載されています。

ですから、みなし残業代と同じように○時間を超えた残業代を請求することができます。

管理職/名ばかり管理職

名ばかり管理職の場合は当然残業代を請求することができます。

その他、下記の労働基準法が適用されます。

ここで労働基準法の定める管理職とは管理監督者といい、経営者と同等の立場にいるため終業時間や上長の承認なく遅刻や休暇を取得でき、一般社員よりも多く給与をもらえる立場の人を指します。

ですから、終業時間に縛りがある、遅刻や早退時に、誰かの承認が必要な人は「名ばかり管理職」に当てはまります。

しかし、管理職(管理監督者)であっても深夜労働をした時には割増賃金の対象になります。

管理職(管理監督者)の立場で深夜割増賃金が支給されていない人は、深夜割増賃金を請求することができます。

2)残業代を請求するなら退職する前と後、どっちがいい?

自分が残業代を請求できると確認ができても、現職中に請求するか悩みますよね。

「現職中だと自分の評価に関わりそう」「退職後だと交渉が難しくなるのではないか」など考えてしまいます。

元人事の立場から言わせてもらいますと、現職中なら労働組合を通して交渉をする。

労働組合がない企業であれば退職後がオススメです。

現職中に交渉をするのであれば、労働組合で取り上げてもらって団体交渉をしましょう。

正当な方法で交渉することができますし、個人攻撃をされる心配もありません。

しかし、現職中に個人で交渉をすると、

  • 残業代を支払ってもらえない
  • 評価を下げられる
  • 上司から嫌がらせをされる
  • 経営が行き詰まってきた時の「解雇者リスト」入りする

といったデメリットが考えられます。

私自身、現職中に人事へ残業代を請求してきた人が、解雇者リスト作成時に1番に入れられたのを見たことがあります。

なぜ、解雇者リストへ入ってしまったのかというと、「こういう人は文句を言えばなんとかなる、と考えて今後もいろいろ言ってくる」と社内クレーマーとみなされたからです。

本人はそういうつもりではなかったのかも知れませんが、上の立場から見るとやっかいな人に映るのかも知れません。

ですから、個人で交渉をするのであれば退職後に交渉をしましょう。

ただし、残業代の請求には時効があります。

残業代請求の時効は2年(ただし、企業側の不法行為による場合は3年)です。

この2年というのは、請求のアクションを起こした日から遡って2年という意味なので、退職前から準備をして、退職後はすぐに請求をしましょう。

もし、退職時に有給消化するのであれば最終出社日の翌日(または当日)に請求すると、より多くもらえます。

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2. 残業代を請求したい時にはどこに相談すればいい?

未払い残業代 相談

1)地方自治体

まずは、お金のかからない地方自治体の相談コーナーで相談をしましょう。

2)弁護士、司法書士、行政書士、社労士 などの士業

企業との交渉が難航したときに1番力になってくれるのが、弁護士・司法書士・行政書士の士業の人たちです。

士業には得意不得意があります。

自分の相談内容や自分が希望する解決方法によって選ぶと費用も安く済みます。

社会保険労務士

会社の人事全般のプロである社会保険労務士は労働基準法のプロです。

しかし、解決方法で力になれるのは内容証明郵便の作成まで(特定社会保険労務士は企業交渉も可)ですが費用は数千円~1万円と安く済みます。

なお、全国の社会保険労務士会では定期的に無料相談会を実施しているので、まずは問い合わせをしてみましょう。

行政書士

行政書士とは役所へ提出する書類作成のプロです。

多くは遺産相続関係の書面作成や企業設立時の書面作成を行っていますが、残業代請求の内容証明の作成も依頼できます。

費用は1万円程度です。

司法書士

請求額が140万円未満の訴訟を起こす場合、弁護士よりも費用を抑えて交渉が行えます。

弁護士同様に代理人として簡易裁判所で手続きをしてもらえます。

未払い残業代の請求額が140万円未満の場合は司法書士に依頼をすると良いですが、司法書士の中には簡易裁判所での手続きや残業代の請求に不慣れな司法書士もいるので、見極めが必要です。

費用は成功報酬の10%前後です。

弁護士

内容証明郵便の作成から労働訴訟までオールマイティーにお願いすることができます。

企業との交渉が難航した請求額が140万円を超える未払い残業代を請求する場合や、残業代以外にも企業との間に問題を抱えている場合は弁護士に依頼しましょう。

費用は成功報酬の20~30%です。

3. 残業代を請求する具体的な手続き方法とは?

1)証拠を集める

まずは自分が残業をした証拠を集めましょう。

  • 雇入通知書
  • 労働条件通知書
  • 就業規則
  • タイムカード(勤務表)
  • 残業申告書
  • 賃金台帳
  • 給与明細
  • 日報(備忘録)
  • クライアントへ送信したメール
  • パソコンのログイン&ログアウト記録
  • 帰宅時のタクシーの領収書
  • 残業を依頼されたメールやメモ、資料
  • 手帳やスマホに残した退社または帰宅時間のメモ
  • 奥さんや母親など親族が記録していた帰宅時間のメモ

人事など他の部署に行かないともらえない資料もありますが、「残業代を請求する」とは言わずに「転職活動で使う」「役所へ提出する」と理由は濁しておきましょう。

人事などへ直接依頼しにくい時は、メールや電話で依頼するのも良いでしょう。

未払い残業代 証拠を集める

2)労基署で計算してもらう

労基署へ行くと労働基準監督官という労働基準法のスペシャリストがタイムカード(勤務表)や給与明細、証拠品を元に本来もらえる額の残業代を計算してくれます。

3)交渉をする

内容証明を送る

ファーストアクションはまず内容証明郵便を送ることです。
多くの企業はこのアクションだけで動いてくれます。
自分で作成できない時は前に紹介したプロへ依頼しましょう。

直接交渉

内容証明郵便が届いても返事がないときは電話で確認をしましょう。

電話をする前にどのように直接交渉をすれば良いか、2でご紹介した相談窓口で相談しておきましょう。

アドバイスをもらったうえで交渉するのがベストです。

4)公の場で話し会う

直接交渉に自信がない人や直接交渉が上手くいかなかった人は、公の場で企業と話し会いましょう。

話し合いの方法は3つあります。

ADR(社労士会労働紛争解決センター/あっせん)

「社労士会労働紛争解決センター」は、未払い残業代やパワハラなどの企業と社員(個人)間の紛争を解決する手続き方法です。
企業側と社員が話し合いにより1回(1日)で解決を目指します。

「社労士会労働紛争解決センター」が行う「あっせん」は、労働問題に精通した社労士があっせん委員となり、解決を目指します。

裁判によりも安い費用(1,080円~10,800円)で解決を目指せます。

労働審判

労働審判とはその名の通り労働問題を扱う制度です。
直接交渉または内容証明郵便を送っても企業が応じてくれない時は、労働審判を起こしましょう。

通常の訴訟よりも短期間(3回以内)で解決し、審判の内容は法的効力があります。

通常訴訟(民事訴訟/労働訴訟)

最終手段です。
個人で訴訟を起こすのはハードルが高いですが、企業との交渉が決裂した場合は仕方がありません。

訴訟をおこすと実名や企業名が公になることをまず覚悟しておきましょう。

ただし、通常訴訟を起こすと確実に未払い残業代をもらえるうえ、労働基準法上の割増賃金と同等の付加金と遅延損害金(退職前6%、退職後14.6%)をあわせて請求できます。

弁護士費用がかかりますので、付加金と遅延損害金は必ず請求しましょう。


未払い残業代を諦めない

現在はさまざまな給与形態があるため、何が給与に含まれていて何が引かれているのかわかりにくくなっています。

いまからでも遅くありませんので、賃金に関する知識や基本的な労働基準法を身につけておきましょう。

どうせ払ってもらえないと諦めず、働いた分の賃金はしっかりもらいましょう。

 
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残業代をきちんと請求して、満額支払ってもらえますように。