最終面接での合格率は、企業が中途採用を計画した時にある程度シミュレーションをして決めておくのが一般的です。
質・量ともに欲しい人材を採用するためには、どれぐらいの応募者(いわゆる母集団)を集めるか。
そして、面接・適性検査・筆記試験といった選考ステップを通じてどれぐらい絞り込んでいくのかというシミュレーションをする中で、最終面接合格率は決まってくるのです。
最終面接の合格率が高い会社と低い会社の違いから、あなたの合格率を予測してみましょう。
1.採用シミュレーションの方法
はじめて中途採用する企業はわかりませんが、中途採用を何度かしている企業は、自社の企業力や人気度を経験則で把握しており、各選考ステップの合格率の目安をもっています。
たとえば、本年度の採用計画で、採用人数を約25人と設定した場合を考えて見ましょう。
その場合、応募者の数は150人は欲しい、
その中から第一次面接と筆記試験で半分以下の60人に絞り込み(合格率・約40%)、
第二次面接では60人→30人(合格率・50%)、
最終面接では30人→25人(合格率・約83%)、
といったように選考ステップごとに合格率を考えて、最終の採用数を確保するのが採用シミュレーションです。
仮に最終面接の合格率を80%にすると、5人面接をして4人を合格にし、1人を落とす計算になります。
この数字が高いかどうかは、それこそ企業の考え方、特に面接官として立ち会うことになる社長、役員など経営幹部の求めることによって変化します。
次はこの辺りを具体的に紹介していきましょう。
2.最終面接の合格率はこうして決まる
極端な話、前段の例で25人採用のために25人の候補を最終面接に送ったらどうなるでしょう。
その場合、役員にはまったく選ぶ裁量がなくなります。
1人でも落としたら、目標の25人に満たないのですから、役員からすれば「選択の余地なしか」と不満が出ます。
しかし、逆に75人を最終面接に送ったとしたら、3人に2人を落とす作業が発生します。
落とす作業と簡単に言うけれど、実際には個人面接なら75人の面接をしなければなりません。
これは、いくら面接が好きな役員でも大変な時間と労力のかかる仕事になります。
また、対象人数が多くなればなるほど質が荒くなるのは当然です。
きっと「もっと絞り込んでおいてくれよ」という要望になります。
実際には、人事部が役員に採用計画の説明をする時に、採用ステップと絞り込み際の目安=合格率を提案して役員の了承を取っておきます。
① 最終面接の合格率が低くなる場合
この時、面接が好きな経営者だと最終面接の合格率は低くなる傾向にあります。
「面接が好き」というのは経営者には失礼な言い方なのですが、良く言えば自社の将来を任せるに足りる人材は、最後まで自分がしっかりと見届けておこうとします。
中小企業の経営者はおうおうにしてこの傾向があります。
質問も自分が聞いてみたいことをそのままストレートに応募者にぶつけます。
経営者自身が人材に対する持論やこだわりが強いので、質問に対する応答の内容や態度が「気に入る・気に入らない」で採用・不採用を決定する傾向にあります。
人事部が「当選確実」で推薦してきた人材も、彼らにかかれば不採用としてしまうことも平気です。
最終面接での厳しい人物評価の結果、最終合格率は低くなります。
② 合格率が低くなるもうひとつの側面
それは、面接は2回で合格者を決めてしまう場合です。
これも中小企業などではよく見られますが、採用スタッフが少ないために、面接の回数を少なくして2回目の面接=最終面接としてしまいます。
募集人数も少なくまた応募者数も少ないと、早い段階で候補者を経営幹部に見せて判断をしてもらおうとします。
粗(あら)よりがあまりできていないので、どうしても最終面接で落とす数が多くなり、結果的に合格率は低くなります。
一概に断定できませんが、最終面接でも約50%しか合格しないこともあります。
③ 最終面接の合格率が高くなる場合
大企業や中堅企業で、企業内のマネジメントが成熟している会社は、採用実務や選考業務は人事部の専任業務とし、役員としては彼らに任せているというスタンスを持っています。
今年の顔ぶれを見ておこうといった感じで面接に立ち会うケースが多く、かなり高い合格率となります。
これらの企業だと、最終合格率は80%から95%でしょうか。
落とす場合は「よほどの場合」と考えていいかと思います。
質問はほとんど人事部に任され、役員が聞きたそうなことを人事部が役員になり替わって質問をする形式になります。
基本的には“顔見せ”なので、終始和やかな雰囲気を感じ取れる面接だと高い合格率が予想されます。
しかし、リラックスし過ぎて言葉遣いを間違ったり、聞かれもしない余計なことを話し出すようだと“よほどのこと”になってしまいます。
あくまで、会社を背負っている経営者であるということを忘れないようにしなければなりません。
④ 合格率が高くなるもうひとつの側面
これは、低くなる時と同様「選考ステップ」との関係です。
低くなる時は面接回数が2回しかなかったのですが、面接回数も含めたその他の選考ステップを何度も通過してきて迎える“最終”面接です。
1回目・グループ面接、2回目・グループディスカッション、3回目・適性検査と筆記試験、4回目・個人面接、5回目・最終面接個人、これが選考のフルコースでしょうか。
この前段階の書類選考を入れて、これだけ多段階に人物精査をした結果の最終面接ともなれば、もうほとんど落とす材料もなくなっています。
「次回はいよいよ最終面接ですよ。」と呼ばれて出かけたら、「入社の最終意思確認」がこの「最終面接」だったという例もよくあります。
言うまでもなく、自分から辞退しない限り合格率は、ほぼ100%なのです。
3.内定辞退率と合格率の関係
以上が最終面接の合格率の考え方ですが、ここで合格率に影響する「内定辞退率」について紹介しておきます。
「内定辞退率」は文字通り、「内定を出した人が辞退する割合」のことです。
応募者が内定を辞退する理由は、ほとんどの場合、かけ持ち応募で他社に行くこと決めたためです。
面接で他社の受験を聞き出し、当社が第一志望であると言わせていても、実際は自分の行きたいところへ行くものです。
この割合をある程度想定しておき、最終の合格数に上乗せしておかないと、せっかく確保した人数もフタをあければ内定辞退で逃げられ予定数に足りなかったということが発生します。
これまでの事例で紹介した採用予定数25人を例にして説明しましょう。
たとえば辞退率を10%と想定したとすると、内定数は約28人が必要となります。
つまり、最終面接に送った30人から28人を合格とするので、合格率は約93%となります。
4.自分の合格可能性を知る裏技
合格率はある程度推測できても、内定辞退率となると企業秘密的なところもあり推測はかなり難しいところです。
結論的には、「最終合格率なんか気にせず、最後まで油断することなく全力で臨むこと」と言うしかありませんが、唯一「感触的につかむ方法」はあります。
それは、選考を重ねる度に顔見知りとなり、選考時の連絡をくれていた採用担当の人とフランクに会話できるような関係を作っておくことです。
そして最終面接の連絡を受けた時、
「はい、ご連絡ありがとうございます!ここまで来れたのは〇〇さんにフォローしていただいたお蔭です。ありがとうございました。これで落ちても悔いはありませんが、なにか注意点があれば教えていただけないでしょうか?」
と声を掛けることをおススメします。
選考スタート時からの担当者はある意味では、応募者を最終面接へ押し上げてきた推薦人でもあるのです。
一言もらうアドバイスから「当選確実」か「逆転ホームランを打ってこい!」かを感じ取ることができるかもしれません。
最終面接「逆質問」の受け答えについては、
→「最終面接で逆質問【転職・中途】ではしない方がマシ。安全な受け答えはコレだ!」
あなたが最終面接を無事突破できますように。