採用選考をする会社は、応募者をいろいろな立場の人に人物評価をしてもらうために、面接ステップを段階的にセットするのが一般的です。
最初の窓口である採用担当者が行う第一次面接、人事の責任者による第二次面接、そして社長や役員など会社幹部がチェックする最終面接の3段階がよくあるステップです。
面接は個人面接が基本ですが、応募者の多い場合は第一次面接で応募者数名を同時に面接する「グループ面接」にして絞り込みをすることもあります。
いずれにしろ、各ステップをうまくくぐり抜けて内定にたどり着くためには、それぞれの特徴をよく理解し、それに応じた面接対策を立てておくことが大切です。
面接のそれぞれの段階における注意点を紹介します。
1. 第一次面接
文字通り、第一回目の面接になります。
多くの場合は窓口になっている採用担当者が面接官になり、一般的には面接官は複数です。
1人でできないこともないのですが、質問をしながら応答内容をメモし、しかもそれなりの採否判断をするのはなかなか難しいので2人以上の複数にすることが多いです。
1人は質問する人、他の人は観察する人といったように役割分担をします。
簡単な自己紹介のあと、志望動機、自己PR、転職面接なら前職の退職理由など基本項目を中心に質問されます。
このステップでは選考対象人数も多く、面接にはそんなに時間をかけられないので「粗(あら)ヨリ」的な選考になります。
人物像の確定が難しくても、次の第二次面接では二次面接の担当者による別の視点でしっかり見てもらおうといった感じで、とりあえず通過的な選考もありえます。
したがって、応答内容ももちろん大事ですが、印象部分が大きく影響することもあります。
第一印象つまりメリハリのある動作、礼儀正しい振る舞い、しっかりとした発声などに充分注意することが大切です。
最初の窓口となる採用担当者は年齢が若く、応募者と近い場合が多いので、ここでポイントを稼いでおけば、後々に上層部へ押し上げてくれるという期待感もあります。
1+. (第一次面接が「グループ面接」の場合)
第一次面接が「グループ面接」となる場合は、特に次のような点に注意します。
グループ面接の場合、人数は4、5人ぐらいのことが多いです。
個人面接との決定的な違いは、応募者に競争意識が働くということです。
人によってはテンションが上がり、いつになく大きな声で発言する人が出てきます。
それにあおられると、自分の声の調子まで変わってしまい、ペースを見失う可能性があるので要注意です。
また、4、5人並んだからといって同じ質問で順番に当たるとは限りません。
むしろ、行きつ戻りつや1人飛ばしなど、アトランダム(手あたり次第)に質問が来ると考えておいたほうがいいです。
あえて競争させるために「この質問はどなたでも結構ですから挙手でお答え下さい。」と言われることもあります。
このグループ面接対策の基本は、「他者を無視する」ことです。
グループ討議をさせることはないので「自分の意見を自分のペースで答える」、これに尽きます。
テンションの高い隣人には、「うるさいなぁ!」と心で思って無視します。
ただ、他者をまったく無視していると「はい、次の方も同じ質問です。」となる場合もあるので、流れは意識しておく必要があります。
また、他者が答えている時にキョロキョロしていると、面接官に見透かされます。
2. 第二次面接
第二次面接は第一次面接から上がってきた応募者を「吟味」することになります。
そのため、面接官には同じ人事部でも役職の上位者が入ります。
また、採用=人事部の専権業務とならないよう、配属予定先のたとえば営業部長を入れるなど多面的に評価しようとします。
質問は第一次面接とかぶることはありますが、応募者側にとっては「おさらい」ぐらいに思っておき、採否を左右する「追加質問=ツッコミ」に神経を集中します。
ツッコミ質問は3種類あります。
具体的な回答を求められる
1つは、一旦答えた内容について「もう少し具体的に教えて下さい。」といった感じでさらに説明を求めるものです。
「志望動機は、御社の事業内容で近年業績を上げられており、大変興味を持ちました。」
↓
「どのような興味を持たれましたか?」
「当社の事業内容はどの程度ご存知ですか?」
理由を訊かれる
2つ目は、答えた内容に関して「理由」を聞くものです。
「私の大学時代は社会学部で、社会福祉を専門に勉強してきました。」
↓
「社会福祉を専攻された理由は何かありますか?」
「私が最近関心を持っているニュースは○○です・・・。」
↓
「そのニュースに関心を持った理由は何でしょうか?」
反論されて反応を見られる
3つ目は、答えた内容に敢えて反論し、反応をみる質問です。
「前職の退職理由は通勤時間がかかり過ぎることです。」
↓
「通勤に1時間半なんて都内ではいっぱいいますよ。本当は別の理由があるんじゃないですか?」
「私の趣味は野球観戦です。」
↓
「野球もそうですが、スポーツは見ているだけじゃ面白くないでしょう?」
・・・いかがでしょうか?
ここにあげた参考例は比較的穏やかな質問ですが、会社によってはこのツッコミが厳しいところもあります。
具体性の追求にしろ理由にしろ、何度も繰り返し聞かれるとれると準備した内容も最後はネタ切れになってしまいそうになります。
しかし、そこでホンネを見ようとする面接もあります。
3. 最終面接を行う意味とは?
最終面接は、いわば会社判断として応募者の入社を決定するプロセスなので、面接というより“議決”に近いイメージです。
したがって面接官も“議決”にふさわしいメンバーとなります。
中堅・中小企業だと社長や経営幹部が立ち会いますし、大企業でも管理系全般を総括する役員がヘッドになります。
企業側からすれば、自社の将来を担ってくれる社員の採用を決めるという重要性があります。
それ以前に、社員一人の採用決定は間接人件費を入れて年間数百万円の買物をすることと同じなので、経営幹部がどんな人物か知らないうちに決まっていたということはありえません。
しかし一方で、組織としての採用決定なので、人事部や採用担当者が面接はじめ様々な選考プロセスを通じて積み上げてきた採用候補者に対して、経営幹部の単なる好みや思い付きだけで採否を決めることもありません。
3+.最終面接の注意点
一般に、最終面接までくるとほぼ内定が近いと言われますが、それでも何割かは落とされます。
その場合は、よほど役員や経営幹部の意に沿わなかったか、応募者がとんでもない失敗をしでかしてしまった時などです。
あるいは、もともと人事担当者が採用定員の120%を最終面接へ送り出し、2割は落とすようにセットした場合などです。
こういった場合は、比較検討した結果、なんらかの理由をこじつけてでも20%は不採用にしてしまいます。
この辺りは最終面接をセットした時の、個々の会社の考え方が大きく左右します。
経営幹部が採用は現場の人事部に任せるよといった場合は、最終面接は「面通し」的に進み、質問も座談会的なムードで進みます。
現場の人事部からすれば自分たちが最善を尽くして選んだ候補者を、あとは役員幹部に顔見せして「ご承認」いただく、どちらかといえばセレモニー的なニュアンスとなります。
一次面接、二次面接でお世話になった採用担当者から最終面接への案内をもらった時の言葉をしっかり聞けば、このニュアンスを嗅ぎとれることがあります。
「最終面接は落ち着いて臨んでいただければ、よほどのことがない限り大丈夫です。」
「最終面接では、○○について必ず聞かれますからもう一度整理をしておいて下さいね。」
これらは、採用担当者の「応援メッセージ」と受け止めて下さい。
一般に言えることは、ある程度の企業規模の役員や幹部ともなれば、見識も人を見抜く力もあります。
そこでの求めている人材イメージは、細かなことはさておき、特に若い人を求めている場合には、“若者らしく元気で率直なこと”です。
面接で多少の緊張を気にするわけでなく、聞かれたことにしっかり答え、わからないことはわからないという素直さを求めています。
しかし、会社によっては経営幹部がヤル気満々で最終面接に臨み、今年の採用候補者はどのレベルか見てやろう!といった状況だと、そうそう簡単には行きません。
それだけの権限を持つメンバーが最終ジャッジするわけですから「こんなのダメだ!人事部はどこを見てるんだ!」と言った時点で不採用決定となります。
中小企業などの経営者が、ワンマン的に会社内で起こることはすべて自分の判断を通過しなければ気が済まない体質の会社にありがちです。
逆にそんな会社に入らなかったことの方が良かったという判断もあります。
面接はあなたと会社とのお見合い
なんとしてもこの会社に入りたい!と思って面接を受ける気合も大切ですが、いざ面接で会社の人と会ってみると、思ってたのと違った…ということも多いものです。
面接は会社があなたを選考する場であると同時に、あなたが会社を選別する場でもあります。
会社側の対応に変なところ、妙に引っかかるところがないか、その都度ふりかえりながら面接のステップを進んでいくようにしましょう。
ところで、面接では、だいたい訊ねられることというのは決まっています。定番の自己アピールをうまくこなすには、
→「転職の面接の自己紹介の例!うまく自己アピールするには?」
最終面接を無事突破するには、
→「最終面接になぜ落ちるのか?|最後に取りこぼししないために注意すべきこと!」
あなたが希望の会社へ転職できますように。