一流大企業はなぜ大失敗するのか?不祥事・不正に巻き込まれないために。

一流大企業はなぜ大失敗するのか?不祥事・不正に巻き込まれないために。

一流企業の失敗 ビジネススキル

誰もが認める一流大企業の不祥事が後を絶ちません。

多くの優秀な人材を擁する一流大企業が、なぜ新入社員でも分かるようなことで失敗するのでしょうか。

そこには、硬直的な大組織が抱える根深い問題があります。

ここでは一流企業の過去の原因ごとの失敗事例防止策を紹介します。


一流大企業の主な失敗事例

1.不祥事

(1)三菱自動車/燃費不正事件

2016年4月に軽自動車の型式認証取得の際に、法令の規定と異なる方式で計測したデータを国土交通省へ提出し、実際より燃費をよく見せていたことが発覚しました。

こうした不正は、1991年から25年にわたり繰り返されてきました。

この間、問題を指摘する社員もいましたが、そのたびに上層部が握りつぶしてきました。

その後、2016年に問題が発覚してから約1年半、2017年9月に燃費不正問題についての国土交通省への第5回報告が行われ、ほぼ問題が収束したように考えられていました。

(2)日産自動車/無資格検査

2016年10月に三菱自動車が日産自動車の傘下に入り、上記の問題が終息に向かっていた最中に、今度は日産自動車の無視覚検査問題が発覚しました。

「型式認証制度」に基づく自動車の出荷前の完成検査を、資格のない従業員に担当させていた問題です。

対象となっている車種は、過去3年あまりの間に製造された38車種116万台と膨大な数となりました。

国土交通省は2018年3月26日、日産自動車に対して再発防止策の進捗状況を四半期ごとに報告させることや重点監視対象として抜き打ち検査の頻度を増やすことが指示されています。

(3)東芝/粉飾決算事件

2015年4月に東芝が一部事業の会計処理の調査を実施する旨を公表したことに端を発し、粉飾決算の実態が明らかになりました。

  • “チャレンジ”と呼ばれる全社を挙げた利益の先取りと損失の先送り
  • 原子力事業に関する固定資産の減損の回避(事業の収益性に関する過大評価)

などが行われていました。

2015年12月に証券取引等監視委員会の勧告に基づき約73億円の課徴金を納付しましたが、今後も株主代表訴訟や歴代社長の刑事訴追が行われる可能性があります。

その後、不適切会計の再発防止するため監査法人の交代を発表しましたが、またしてもこの監査法人への疑惑が生まれ、日本公認会計士協会が調査を始めました。

問題に疑惑が重なりましたが、2018年2月に会計士協会の調査が終了し、東芝監査に関係した監査法人の一連の処分が決定しました。

(4)タカタ/エアバック不正事件

2014年10月に米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、自動車部品メーカーのタカタが製造するエアバックの部品交換を促す声明を発表しました。

さらに2015年11月にはタカタの米国子会社とNHTSAはエアバッグのリコールに関し、70百万米ドル(約85億円)の民事制裁金の支払いを含む同意指令(Consent Order)に合意しました。

一連の問題への対応が後手に回ったこともあり、タカタは北米の消費者から多くの訴訟を提起されました。

2017年1月に、米司法省はタカタが和解金最大10億ドル(約1150億円)を支払うことで合意しました。

また、タカタの元幹部が、製品の欠陥を知りながら隠蔽していたという詐欺罪で刑事訴追され、タカタ側は詐欺罪を認めました。

その後、2017年6月に負債総額1兆円を超えて製造業としては過去最大規模の経営破綻をしました。

(5)オリンパス/飛ばし事件

2011年10月に当時の英国人社長が解職されたことにより、飛ばし(有価証券含み損の隠蔽)問題が表面化しました。

11月にはオリンパスが飛ばしの事実を正式に認め、12月に公表された第三者委員会の報告書では既に1990年代後半に1,000億円弱の含み損を抱えていたことが指摘されています。

2015年2月には不正発覚時の会長、副社長、常勤監査役(元経理部長)と社外の投資アドバイザー4名が有価証券報告書の不実記載などの容疑で逮捕されました。

(6)大王製紙/ギャンブル損失事件

2011年11月に創業家の3代目に当たる前会長が、特別背任罪で東京地検特捜部に逮捕され2013年に実刑が確定しました。

これは海外カジノの賭博代金を賄うため関連会社から165億円の融資(このうち55億円が刑事訴訟の対象)を受けるという前代未聞の不祥事を起こしたことによります。

(7)神戸製鋼所/データ改ざん

2017年10月に、神戸製鋼をきっかけに数社の日本企業の品質管理データ改ざんが発覚しました。

神戸製鋼の川崎博也会長兼社長は会見で、現職の執行役員3人と元職の取締役ら2人が関与し、不正が少なくとも1970年代から続いていることなど、不正が長期間にわたり組織的に行われていたことを認めています。

当時、現場の不正を知りながら改善策を取らなかっただけでなく、自身も不正に手を染める、また、データ改ざん問題が発覚した後も会社に報告しなかったなど、極めて悪質な体質を持っていました。

2018年2月に神戸製鋼所は、品質データを改ざんしていた製品の安全性の検証で、納入先の98.6%で安全性を確認したと発表しました。

一時は、230億円の赤字だった損益は、450億円の黒字になる見通しに回復しています。

2.経営判断ミス

(1)シャープ/経営危機

大手家電メーカーのシャープは、2016年4月に台湾の鴻海精密工業に買収されることが決まりました。

液晶事業の成功を過信し過大な設備投資を進めた結果、2009年3月期に1,258億円の当期赤字を計上しましたが、自力での経営再建に失敗し、2016年に鴻海の傘下に入ることになりました。

その後、2018年度第3四半期決算で、売上高が前年同期比22%増の1兆8294億円、営業利益は同約4倍の703億円という結果を出し、V字回復しました。

(2)銀行/不良債権問題

バブル経済崩壊後の1990年代に日本の銀行は、建設・不動産・株式関連を中心に多額の不良債権を抱え込みました。

その負担に耐えきれず北海道拓殖銀行(拓銀)、日本長期信用銀行(長銀)、日本債券信用銀行(日債銀)など多くの銀行が経営破綻に陥りました。

四大証券会社の一角を占めていた山一證券も、系列ノンバンクの不良債権が足かせとなり廃業を余儀なくされました。

その後、世界経済拡大による景気回復などにより、2005年3月末には不良債権が約18兆円に縮小しました。

さらに、アベノミクスなどの影響で2016年3月末では約8兆円まで減少しています。

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一流大企業が失敗する背景

1.成長余地の縮小

かつて小売業で売上トップだったダイエー創業者の中内功氏は、「売上はすべてを癒す」と述べていました。

売上が順調に伸びていれば大抵の問題は解決できます。

そして、毎年社員の給料を上げたり設備投資を増やしたりできます。

戦後の高度成長期には、多くの企業がこうした好循環を維持していました。

低成長期期へ移行した1990年代以降は一部の企業を除き何年も増収を継続できなくなり、さまざまな問題が表面化するようになりました。

2.年功序列型人事の温存

官公庁や多くの伝統的な大企業は、今でも高度成長を前提とした年功序列型人事を温存しています。

こうした組織では職位や年次に基づく上下関係がはっきりしていて、正しいことより上席者の意向が優先されます。

三菱自動車の燃費不正事件では、若手社員の指摘を上層部が握りつぶしてきました。

シャープでも2012年に事業本部長が提案した再建プランを、社長が一切検討することなく無視したといわれています。

3.達成責任の曖昧化

年功序列型人事が定着している組織では公正な人事考課を行う必要性が乏しいため、仕事の達成責任が曖昧になりがちです。

稟議決裁の関係者がやたらと多い組織では、“口出しするが責任を取らない”人が大勢います。

銀行の過剰融資などバブルに踊った失敗は、問題が表面化する前から多くの関係者が危険を察知していました。

それにも拘わらず事前に手を打たなかったのは、誰も責任を取る覚悟を持っていないかったからです。

4.優先順位の不透明化

仕事の達成責任が曖昧な組織では、優先順位もはっきりしていません。

何が重要なのかを判断するための共通認識がないため、事故対応よりも役員が参加する社内の飲み会を優先するような社員が出てきます。

こうした会社では顧客よりもゴマすりを優先することを恥じない風土が醸成されています。

5.情報の透明性の欠如

仕事の達成責任や優先順位が曖昧な組織では、上席者の個人的な意向で仕事を進めがちです。

また、仕事の成果ではなく組織内の地位で自らの力を誇示する管理職が増え、情報格差を作り出すことにより部下をコントロールする傾向が強まります。

こうした上司はITインフラの整備・活用により情報共有を進めることを嫌います。

情報の透明性を確保し業務の有効性や効率性を高める意欲がまったくありません。

6.人事考課の公平性の欠如

年功序列型の人事制度が温存されている組織でも、その運用はベテランと若手では異なります。

例えば50歳の社員は80%以上が次長級に昇進できるのに対し、30歳の社員は20%しか1次選抜で主任級になれないといった運用がされます。

また同じ年代でも各人の達成責任が曖昧なため、上席者の主観による人事考課が当たり前のように行われます。

7.無謬性の原則

東芝は一連の不正を粉飾決算と認めず、対外的には未だに「不適切会計」と呼んでいます。

問題が発覚してからも体面を取り繕うことに終始し、膿を出し切るという姿勢からは程遠い印象です。

中央官庁や大企業などエリートが集う組織には、一切の誤りを認めない無謬性の原則が根づいています。

このため早期に課題や不備を認識し是正する機能が働かず、隠蔽できなくなるほど深刻な事態になるまで問題が表面化しないケースが少なくありません。

8.創業者一族の温存

本来、上場企業には不特定多数の株主が存在し「所有と経営」の分離が図られた組織として運営されるはずです。

しかしながら、実際は創業者一族が非上場時代と同じようにオーナーとして君臨するケースが数多くみられます。

大王製紙は、収監された元会長とその実父の顧問が牛耳る組織でした。

元会長への不正融資に係る特別委員会の調査報告書にも「大王製紙グループ内では、元会長父子に異を唱えることだけは求められていない」旨が明記されています。

9.脆弱なコーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスは企業統治と訳されますが、要するに経営陣が会社のために(すべての株主の利益のために)働くように監視する機能のことです。

上述のとおり大王製紙は、会社ではなく創業家のために経営陣が働く組織でした。

オリンパスも不祥事が発覚した時の監査役は2名の元社員、会長の友人、調達先の社長で構成されており、誰も会長に異を唱えることはありませんでした。

監視者のいない絶対王者が君臨する組織は必ず腐敗します。

一流大企業の失敗防止策

一流企業の失敗 防止策

1.コーポレート・ガバナンスの強化

企業が不祥事を起こしたり重大な経営判断ミスを回避できなかったりする根本的な原因は、経営陣に対する監視機能が十分に働かない点にあります。

その意味ではコーポレート・ガバナンスの強化は、重大な失敗を犯した企業の再建策の王道です。

オリンパスや東芝は外部有識者の調査報告などを踏まえ、社外役員の増員や情報開示の強化などを行っています。

2.達成責任の明確化

企業風土の改善には、達成責任の明確化が欠かせません。

誰も責任を取らない組織では社員の士気を高めることは困難です。

1999年にカルロス・ゴーン氏が日産自動車へ入社したときに「コミットメント」という言葉を流行らせました。

責任の所在が明らかになれば、自ずと職務権限や業務の優先順位も明確になり仕事が効率的に進むようになります。

3.情報の透明性の確保

情報の非対称性を利用し部下に対し、優位に立とうとする上司を排除することも重要です。

情報は、囲い込むものではなく利用するものです。

ITが未発達な時代は人脈を通じ情報収集することが重要でしたが、今は収集した情報を利用する能力が勝敗を分ける時代です。

情報の透明性が高まれば、仕事がしやすくなり結果として処遇の公平性の向上にもつながります。


「一流だから」失敗する

突き詰めていえば、一流大企業が失敗する理由はその会社が一流だからです。

立派な会社は、過去の実績に裏打ちされた売上や利益規模を誇り組織体制も整備されています。

しかし、過去の成功体験に基づく行動様式や組織形態は、世の中の状況が変われば効果的に機能しなくなります。

にも関わらず、「一流」であることを標榜し続ける必要に迫られて(本当はそんな変なプライドは不要なのですが)、不祥事を起こしてしまうわけです。

崇高な企業理念を維持しつつ、事業内容や組織形態を時代の流れに応じ変えていくことができる会社が真の一流企業といえます。
 

あなたが勤めている会社は大丈夫でしょうか?

これは危ないと思ったら、早めに脱出できるように準備しておきましょう。

 
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あなたが不祥事や事業の失敗に巻き込まれてキャリアに傷がつくといったことから逃れられますように。