能力不足な部下が悩みのタネ… という時のための改善方法

キャリアアップして部下を持つようになったあなた。

ただ、そのなかにはどうしても、「何度同じことを言っても同じミスを繰り返す」「同期と比べてスキルに大きな差がついてしまっている」という人材がいることも……。

「使えない」と嘆くだけでは、管理職としてのあなた自身の評価も下がってしまいます

でも、その部下は本当に「ただ能力不足なだけ」なのでしょうか。

ある部署では能力不足で「ダメ部下」認定されていたのに、部署を移動したとたんに大きな成果を上げて活躍をした、といった話も少なくありません。

つまり、なにかきっかけさえあれば別人のようになれる力を秘めているのかもしれないのです。

そこでこの記事では、能力不足だと思われている人間をうまく育てるノウハウをご紹介します。

部下のパフォーマンスを引き出す“有能な上司”への近道になりますよ!


指導方法は、3種に分けて考える

指導方法は、「部下の現在・過去・未来」に分けて整理してみましょう。

■現在:いますぐの処方箋

■過去:本人像のリサーチ

■未来:これからの明確なビジョン

この3ステップの流れをイメージしながら指導を行なっていくと、部下の能力を引き出しやすくなります。

それでは、さらに具体的に解説していきましょう。

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“現在”の能力を引き上げるために

部下を育てる場合、すぐに成果が出るわけではありません

地道に積み重ねていくほかに方法はないのです。

そこで“現在”の能力を最低限のレベルまで引き上げるために、まずは下記のような指示から始めてみましょう。

1.誰でもできる仕事から与える

能力が低いからといって仕事を与えないのでは、周りとの格差が浮き彫りになってしまいます。

これでは部下本人のみならず、周りの人間にとっても決して居心地がいい職場とは言えず、大きな悪影響が出てしまいます。

まずは特段の能力を必要としない、会議資料の準備や整理など「誰でもできるけど必要な仕事」を与えて日々を過ごさせるようにしましょう。

部下自身にとっても周りにとっても「何しに会社に来ているの」などとは思われない状況にすることが大切です。

2.同じ仕事を繰り返させる

極力、その部下に対しては毎日同じような仕事を与えるようにしましょう。

そうすることで部下自身もその仕事をしっかりと習得でき、自信がついてきます

成長が遅いだけで、能力が伸び続ければその道のエキスパートになる可能性だってあるかもしれません。

毎日同じ仕事を与えながら、こなすスピードや本人の様子をうかがい、慣れてきたと思ったら少しずつ頼む仕事を増やしていきます。

その際は、「今日はいつもの●●に加えて、○○もお願いしたいんだが、いつも通りの時間に間に合うか?」といった感じで指示してみましょう。

すると、いつもの仕事をいかに要領よく終わらせるか、という工夫を本人が考えるきっかけになります。

仕事において大切な基礎となる、「自ら効率のいい働き方を考える」という癖をつけることにつながるのです。

3.仕事の意味を教える

ある程度、いつもの仕事を覚えてくれるようになったら、さりげなく仕事の意味を教えてあげましょう。

なんとなく上司から言われたからこなしているだけの、「やらされている感満載の仕事」というのは、苦痛でしかありません。

一方、自分がどのように役立っているかを考えるようになると、やりがいや工夫の余地が出てくるようになります。

例えば、「いつも資料の準備を丁寧にしてくれているね。実は、君に頼むようになってから資料の並び方がわかりやすくなって会議がはかどるんだ」という具合。

その仕事がどのように役立っているのかを、具体的に伝えるように心がけましょう。

モチベーションをあげるとともに、今後の仕事でも「どんな意味のある仕事なんだろう?」という疑問を抱くようにもなります。

この「疑問を抱く姿勢」があれば、部下の視点が広がり、自ら仕事を見つけて動ける人材になっていくのです。

また、疑問を持つことで現状の課題点などを見つけることができ、会社の提案活動などにも大きな貢献をしてくれるかもしれません。

“過去”を知るための密なコミュニケーション

「部下がなにを考えているのか」をつかめなければ、育成はできません。

「このくらいは知っていて当然」「この仕事は面白くて当たり前」といった前提は、人によってずれている可能性が高いのです。

そのままでは、的外れな指導しかできなくなってしまいます。

“過去”にその部下が培ってきた価値観や常識を知り、しっかりとすり合わせておきましょう。

1.仕事への姿勢を知る

本人は、周りや上司から「能力不足だ」と思われていることに気が付いているのでしょうか。

気が付いているのなら、そのことについてどう思っているのでしょうか。

そもそも、この仕事でステップアップしていきたいという人もいれば、ただ給料をもらえていたらそれでいい、という人もいますよね

実は、極端に苦手な業務の部署に配属されてしまい、初歩的なことすらわからない、でも誰にも言い出せず悩んでいる、という状況かもしれません。

ちがう部署にさっさと異動させてほしくて、あえて能力を発揮せず異動のチャンスを待っているなんて人もいます。

ここで紹介したパターンだけでも、部下への対処方法がそれぞれまったく違ってきますよね。

こうした仕事への姿勢や生き方に対する考え方を知らなければ、信頼関係を築くことはできないのです。

2.周囲からの情報収集

能力不足な部下は、入社してからずっと能力不足だといわれてきたのでしょうか?

実は、前の部署ではとても有能で期待されてこの部署に異動してきた、というパターンも少なくありません。

また、入社後になにかしらのトラブルがあり、それを上司のせいだ、周りが助けてくれなかったせいだと思い込んでしまっているケースもあります。

その場合、自分を改める気持ちを持てなくなっているため、放置しておくと同様にトラブルを起こしかねません。

能力不足だと感じる部下がいれば、その部下を以前担当していた管理者や指導役の職員などにも聞いておくべきでしょう。

3.ハードルは押し付けない

評価を行なう際に、自分で勝手にハードルを設定するのは危険な行為です。

仕事の難易度は、一人ひとりで異なるもの。

「これくらいの仕事ならできる」「ここから先はまだ難しい」といったあなたの価値観を、すべての部下に通用させようとしてもムリな話なのです。

特に、「自分では能力不足だな」と自覚している部下にとって、上司や仕事ができる人からの押し付けはストレスやプレッシャーでしかありません

解決への近道は、どんなことが苦手なのか、どんなスキルが足りていないのか、一人ひとり把握してカバー体制をとる、対策を一緒に考えるといった方法。

回りくどく感じられても、目の前に明確にあり、越えやすいハードルをひとつひとつ設定していく必要があります。

そのためにも、部下の過去から「どんな成功体験を積んでいるか」「どんな仕事なら意欲的に取り組めそうか」を探ることが不可欠。

なにより、こうした積み重ねは「どんなメンバーであっても、組織として成果を出す」というあなた自身のスキルも向上させてくれますよ。


“将来”に目を向けさせるには

ここまででご紹介してきたのは、あくまでも下準備

実際に活躍できる人材へと成長させるには、一人ひとりに合わせた“将来”と、そこまでのステップを設定してあげる必要があります。

そのなかで、上司として努力するべき部分をご説明しましょう。

1.適性を見つけだす

上記の通り“誰でもできる仕事を任せる”なかで、部下本人に向いている仕事内容を意識して見つけるようにします。

例えば「会議室の準備をしておいて」とお願いしたなら、放っておくだけではなく時間を作ってちょっと覗きに行ってみましょう。

部下にとっては、「気にかけてくれている」という信頼関係を築くきっかけになります。

さらにこの時、部下がどのように仕事をしているのかをさりげなくチェックしてみます。

意外と、上司の知らないところで部下なりに試行錯誤しているかもしれませんよ。

同じ仕事であっても毎日違う順番でこなして、ひとつずつ効率のいいパターンを探しているかもしれません。

普通なら気が付かないようなところまで、きれいに整えようとしてくれているかもしれません。

「能力不足な部下だ」と先入観を持った状態では、上記の行動も時間のムダに思えてしまうもの。

ですが前向きにみれば、「自分から積極的に考えようとしている」「どんな仕事にも丁寧に取り組もうとしている」と、印象がガラッと変わります。

一方、こういったプラスポイントを見出すときは、マイナスポイントも一緒に考えることも大切です。

もちろん、それはネガティブな意味ではなく、ステップアップするべきポイントという意味です。

「あとはこれができるようになれば能力を発揮しそうだな」といった視点で部下を見れば、自然とその適性を活かせる仕事や、成長につながる仕事が見つかってくるでしょう。

2.仕事の楽しさを教える

毎日褒められもしない、頼られもしない人が、仕事を楽しんでいるとは思えませんよね。

「好きこそものの上手なれ」なんてことわざもありますが、やりがいが感じられなければ上達したいというモチベーションは沸いてきません。

上司は、「仕事の楽しさ」を感じるきっかけを作ることのできるポジションなのです。

もちろん、「これが楽しいだろう!」という押し付けは厳禁

「私はこう工夫してみた結果、○○さんに喜んでもらえてすごくうれしかったな」というように、身近に潜んでいる小さな楽しみに気づける機会を与えてあげてください。

できるだけ身近なエピソードであれば、無意識に自分に置き換えて想像させることもできます。

これが限定的なシチュエーションであったり、自慢話になってしまったりすると、“武勇伝を聞かせる上司”と煙たがられてしまいますのでご注意を。

「正直、仕事しんどいよな」と共感を呼び起こしたり、「この営業先、美味い定食屋がいっぱいあるんだよ」と雑談交じりで会話したりすると、ぐっと身近に感じてもらえる効果があります。

部下が話に乗ってきたら、「ランチしに仕事に来てるのかと部長から怒られちゃうなー」なんて冗談も入れながら、「今度一緒に行くか?」などと誘ってみてもいいかもしれません。

人間味のある会話をすることで、部下は「上司もそんな風に思うんだ」「自分だけじゃないんだ」と感じ、将来の希望も持てるようになります。

また、こうした上司との関係が、部下にとっても「今を打破するにはどうしたらいいのか」という方向に視点を向け、ステップアップしていける第一歩となるのです。


能力不足の部下も、「これから先」に期待

部下が会社組織の中で役割を見つけ、力を発揮できるように導いていくことこそ、管理職の役割。

今は能力が足りなかったとしても、これから適した仕事が見つかることもあるでしょう。

成長が遅いだけで、大器晩成型ということもあるかもしれません。

長い目で見ながら、その時のための基礎をつくってあげてください。

仕事ができないと言われる人材の多くは、自分の能力不足を自覚しているものです。

それでも成果を出そうとがむしゃらに行動できないのは、失敗への恐れがあったり、成功体験が少なかったりといった理由があります。

今回ご紹介したことを意識すれば、その見方も変わってくるのではないでしょうか。

管理職になるとどうしても、“自分のやり方”を押し付けがちになってしまうものですが、いったんそれはガマンして、まずは耳を傾けてみてください

一人ひとりをしっかり見つめ、話を聞き、信頼関係を築くことで、上司としてのあなたも一皮むけるはず。

能力不足が本人だけの問題なのか、いま一度見つめなおす機会にしてくれると嬉しいです。

「能力不足」の一言で部下の成長の芽を摘むことではなく、開花する場所を見つけてあげられた時の方が、きっとあなたにとってもやりがいはずっと大きくなるはずですよ。

 
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