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派遣社員はやめたほうがいい?派遣のデメリットとは
2019.08.31

派遣社員はやめたほうがいい?派遣のデメリットとは
「派遣で働くことはやめたほうがいい。」
そんなことを言われたことはありませんか?
派遣社員は、派遣会社に登録をすることで面接もなく条件に合う求人が紹介されて、そこそこの手取りがもらえる雇用形態です。
何かあれば派遣会社が仲介に入ってくれるし安心だと言われることもありますが、派遣で働くデメリットも必ず存在します。
本当に派遣で働くことはやめたほうが良いのでしょうか。
今回は、大手派遣会社で長年営業を経験した筆者から「派遣はやめたほうがいいと言われる理由」をお伝えします。
派遣で働く「気軽さ」の落とし穴
1. 派遣先企業と面接をする必要がない
〈表向きの実態〉
派遣で働く場合、派遣先の企業と派遣社員の間には雇用契約がないため、面接がありません。
派遣会社から仕事の紹介をされ、その仕事内容に合意をしたなら、それで雇用契約が成立し働き始められるというのが派遣の制度です。
だからこそ新しい職場を探すハードルが低く、プロとして任された仕事を即戦力として全うするのが、派遣のあるべき姿だったわけです。
〈裏側の実態〉
確かに面接はありませんが、面接の代わりに派遣担当者とともに企業へ行き、「顔合わせ」や「職場見学」という名前の面談を就業開始前に行われるのが常態化しています。
聞こえは面接とは違うものの、実際は派遣先企業による面接と言ってよいでしょう。
派遣は面接禁止のため、一派遣会社からは一名の派遣社員しか紹介をしませんが、派遣先企業は複数の派遣会社に対して、求人の依頼をします。
そうすると、結果的に複数の中から一人だけを選ぶということを派遣先企業はしているわけです。
もちろん律儀に法に則って派遣を活用している企業もありますが、多数の企業はいわゆる面接行為の末で、就業する派遣社員を決めているのです。
2. 履歴書や職務経歴書を用意しなくても良い
〈表向きの実態〉
派遣で働く場合は正社員とは違い、履歴書と職務経歴書を用意する必要がありません。
何故なら、派遣会社があなたに代わって、スキルを記載した資料を派遣先企業に提出をしてくれるからです。
面接の度に、履歴書と職務経歴書を用意するとなると準備が大変ですが、それをやらなくても良いのであれば、これも有難い仕組みと言えるでしょう。
〈裏側の実態〉
確かに、面接の度に履歴書と職務経歴書を出す必要はありません。
しかし、派遣会社に登録に行く際には、履歴書と職経歴書の持参は必須です。
そこで社会人としてマナーがあるかどうかを、派遣会社は見極めていますので、気を抜かずに丁寧に書類を作っていく必要があるでしょう。
また、派遣先企業との顔合わせの際に、履歴書と職務経歴書の提出がない代わりに、派遣会社がスキルを一覧にしたシートを事前に準備しています。
このシートには、「業務経歴書」や「スキルシート」など、派遣会社によって呼び名はまちまちですが、氏名、年齢、住所などの個人情報と、過去の就業先の社名を見せない職務経歴書のようなものです。
派遣会社の営業やコーディネーターが派遣先企業の要望に合わせて、若干の編集を行い派遣先企業に提出します。
また、そのシートをあなたが確認出来るのは顔合わせ当日のことがほとんどです。
当日いきなり派遣会社が編集を加えたシートを使って、過去の業務内容を説明しなければならなくなりますので、事前の練習がほとんどできません。
緊張してしまう方は、派遣会社に相談をして、当日渡されるシートに事前に目を通しておくようにしましょう。
3. 派遣先は派遣会社が選んで連絡をくれる
〈表向きの実態〉
「派遣会社に登録に行けば、条件に合った仕事を紹介される。」
それが派遣で働くメリットだと思っている人は多いのではないでしょうか。
派遣会社は、派遣先企業からもらった求人に見合う人材を専用のシステムを使って抽出し、対象者に電話やメールをして企業に紹介する候補者を探していきます。
そのため、待っていれば派遣会社から仕事の紹介が来るというのも、本当に仕組みとして整っているわけです。
〈裏側の実態〉
但し、この表向きの話しは、その派遣会社で就業実績が豊富な人や特別なスキルを持ち合わせている人にこそ、活きてくる話です。
スキルも高く、人柄の評判も良い派遣社員は、派遣会社の内部でも知名度が高いです。
そう言った方は引く手あまたで色んな求人を紹介されることになりますが、全ての派遣社員が当てはまるわけではありません。
思うように仕事紹介が来ない場合は、自ら派遣会社の事務所に紹介してもらえる求人がないか問い合わせをすることや、派遣会社が用意している仕事紹介サイトを使って求人を探してエントリーをしていく必要があるのです。
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元派遣会社営業担当が語る派遣のデメリット
1. 1社ずつしか案件を進めてもらえない
見落とされがちですが、派遣で働く上でとても不都合なのがこの点です。
本来、面接がないと言われている派遣制度において、結局別の派遣会社と競合にかけられ、顔合わせに行っても就業できない可能性があります。
社内ルールにより、紹介している会社の結論が出るまでは、別の会社の求人は紹介しないとしている派遣会社もあるほどです。
派遣会社としては、派遣社員が複数の求人を同時並行で進めて、「他の仕事に決まった」と言われると困るからです。
同時並行で進められないからこそ、求職活動に余計に時間がかかってしまうリスクがあります。
2. 時給が上がりにくい
派遣社員には、人事評価されるタイミングがほとんどありません。
通常会社に勤めていれば、定期的に上司と面談し人事評価され、それが査定に影響します。
しかし、派遣社員にはそのような評価制度がないため、時給が上がりにくいのです。
派遣会社に自ら時給交渉をしないかぎり、時給は上がることがないと思ったほうが良いでしょう。
筆者も営業時代、長年担当している企業であれば交渉もしやすいことから、自ら働きかけて派遣社員の時給が上がるように動いたこともあります。
しかし時給アップの交渉は、派遣の営業担当にとっては仕事が増える行為です。
何事もなく穏便に契約更新されると一番効率が良いわけなので、出来るだけやりたくありませんでした。
中には派遣社員自らが派遣先企業の担当者に交渉をして、事後報告で「後の細かい調整をよろしくお願いします」と自ら時給アップを実現させる派遣社員の方もいました。
3. スキルアップ出来る機会が乏しい
多くの企業で研修制度が整っていないのが、派遣社員の現状です。
そもそも派遣社員は、すでにスキルを持っていて即戦力として扱われる人材です。
更には、必要なときだけ職場に来てもらうという短期的な活用がベースになって普及してきた雇用制度のため、育てるという概念が、派遣会社にも派遣先企業にも薄いと言えます。
そのため、スキルアップをしたいのであれば、自分でお金を出して学ぶ必要があります。
正社員のように、就業中にお給与をいただきながら研修を受けるということが、派遣社員の場合はほとんどないと考えておいたほうが良いでしょう。
4. 人員整理の際に真っ先に対象にされる
表向きには派遣会社も派遣先企業も語ることはないと思いますが、実態は人員整理の際に最初の対象となるのが派遣社員です。
今後、労働契約法の改正により無期雇用の派遣社員が増えた場合は、実態が少し変わってくるかもしれません。
しかしながら、筆者の経験によると、一番雇用が守られているのが正社員です。
次いで契約社員、そして最後に派遣社員でしょう。
過去、リーマンショックがあった時にも、真っ先に契約短縮をされたのは、紛れもなく派遣社員でした。
5. 契約途中解除を迫られる場合がある
契約期間を定めて働いている派遣契約の場合、契約期間を全うするのは派遣社員にも、派遣会社にも当たり前に求められることです。
派遣会社が派遣先企業と締結している派遣契約においても同様もことが言えるわけですが、派遣先企業が契約期間を全うしない場合があります。
もちろん、致し方ない事情であることもあります。
でも、中には契約終了したい理由として、「派遣社員が使えない」「想定していたより仕事がなくて居てもらっても仕事がない」「うちの会社の雰囲気と合わない」というような、理不尽な理由で契約短縮を求めてくる企業があるということも事実です。
その場合、派遣会社も契約内容に従って交渉はするものの、派遣会社の発言力がない場合、派遣先企業の言いなりになってしまうケースも有りえます。
そうすると、そのしわ寄せが派遣社員に来るわけです。
通常、契約途中解除の場合は、休業手当の補償や類似条件の別の派遣先を探す義務が派遣会社側に発生するわけですが、休業手当の支払いは派遣会社にとってかなりの赤字です。
それを避けるために上手く言いくるめて派遣社員の自己都合退職にする場合もありますので、巻き込まれないよう自分自身が賢くなっておく必要があるでしょう。
6. 契約終了の場合に転職活動の時間的余裕がない
派遣契約の延長の有無は、30日前までに実施をすることになっています。
これを長いと取るか短いと取るかは、人によって感覚が違うかもしれません。
但し、もし30日前に契約終了と言われた場合、残りの期間に次の派遣先を見つけなければ、就業期間が空いてしまい、その分手取りが減ってしまいます。
正社員が在職期間中に転職活動をし、転職先が決まってから退職を申し出る仕組みが成り立っていることと比較をすると、転職時の負担が派遣社員側に多くのしかかっていると言えるのではないでしょうか。
7. 就業先での居心地が悪い場合がある
派遣社員は、あくまでも外部から手伝いに来てもらっているサポート要員です。
そのため、派遣先企業によっては派遣社員には共有されない社内情報や、派遣社員にはシステムへのアクセス権限を持たせないなどもルールを設けている場合があります。
小さな出来事かもしれませんが、部署の中の他のメンバーには共有されていることが、派遣である自分にだけ共有されないなど、どこかで疎外感を感じてしまう場合があるかもしれません。
長く会社に貢献出来る人材として扱ってもらうには、派遣社員だと限界があると言わざるを得ません。
派遣社員として長期で働くなら、スキルアップが重要
派遣社員という働き方は、メリットも多いことは確かです。
しかし、派遣で働くメリットを十分に享受することが出来るのは、スペシャリストとして際立ったスキルを持っている一部の人のみです。
仕事を探しやすさでいえば正社員より気軽とはいえ、紹介してきたようなデメリットも存在します。
派遣会社も派遣先企業も手離したがらないスペシャルなスキルを持ち合わせていないと自覚をしているのであれば、スキルアップを図ることが必要です。
派遣社員の働き方だけではなく、正社員も選択肢として視野にいれることをオススメします。
派遣社員のメリットについては、
→「派遣社員ならではのメリット17 女性が派遣という働き方を選ぶ17の理由」
それぞれの雇用形態の比較は、
→「正社員と派遣・契約社員・パートの雇用形態比較!正社員になるメリットは?」
派遣社員のデメリットも知って、自分にあった働き方を選べますように。
2019/08/31