人事部に持ち込まれる相談事10。人事部へ相談して解決してもらえるの?

人事部へ相談すると、どうなる?

人事部に持ち込まれる相談は多種多様ですが、文字通り「人事(ひとごと)」に関することが中心です。

種類ということでは、大きく分けて、相談者自身に関することと相談者が所属する職場のことに分かれます。

ここでは、まずどんな内容を人事部に相談していいのか(多い相談事)と、その中でも重大なものについて、人事部側はどう対応するのか、具体的に説明します。


人事部に持ち込まれる相談事10

それぞれ、代表的な相談事項を分けて整理すると以下のようになります。

1. 相談者自身に関すること

① 人事異動に関すること(異動、転勤、転籍など)

② 進級に関すること( 進級試験の結果に関することを含む)

③ 教育に関すること(セミナーや研修への参加について)

④ 勤務や給与に関すること(出張、勤務変更、就業規則、給与明細など)

⑤ 個人情報に関すること(引越、冠婚葬祭関連の各種届出など)

2. 職場や会社全体に関すること

① 上司に関すること

② 部下に関すること

③ コンプライアンスに関すること

④ 職場環境に関すること

⑤ 福利厚生関係(制度利用、各種休暇、福利厚生施設の利用、財形、健康診断など)

 

……分類すると以上の通りですが、個人・職場問わず相談してくる内容の深刻さや応対の難しさからすると

A.個人の処遇に関する不満
(異動や進級、出向、転籍への不満など)

B.コンプライアンスについて
(セクハラ、パワハラはじめ職場内の問題)

が対応にも慎重を要する案件です。

ここではこの2点を取り上げ、人事部としての対応の仕方を紹介したいと思います。

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人事部に持ち込まれるまでの経路

その前に、相談に来る人ですが、たとえばA.「個人の処遇の問題について本人が不納得な場合、まずは本人が直属上司に相談します。

しかし、人事異動などに関しては人事部が大きく関与しているので直属上司では答えられないことが多く、代わりに上司自身が本人の代わりに人事部へ来ます。

B.「コンプライアンス関係」については、特にデリケートな問題が多いので、「ハラスメント相談室」のような特別相談室を人事部内に設置して、完全守秘で実施されます。

セクハラ、パワハラそのものから疑惑的なものまで、当事者個人もしくは部下から相談を受けた上司が相談に来ます。

これらが職場ぐるみの疑いがあると、組織全体の大きな問題となるため、当事者よりむしろ部門責任者が代表で相談に来ます。

職場ぐるみとは、セクハラ発言(態度)をされて嫌がっている当事者を、横でニヤニヤして見るだけだった周囲の者たちを言います。

1.人事異動(進級)に関する不満

人事異動は、所属部署を変わるといういわゆる一般的な「異動」と、職能段階(係長、課長といったように社員の能力に応じて決められている段階)を上がるという「進級」の2種類があります。

希望の部署に異動したいが代われなかったという不満もありますが、やはりインパクトとしては、期待していた係長とか課長に進級できなかったという不満の方が大きいものがあります。

相談内容として、ポイントははっきりしていて以下の通りです。

「(私の部下の)〇〇君は、なぜ今回、係長(課長など)に進級できなかったのでしょうか?」

前置き的な事情や、状況説明のパターンはたくさんあります。

・同期の中でも一番遅れているのはなぜか?
・あれほど頑張っているのに、何が足りないのか?
・同じ部門の△△君は進級したが、どこが違うのか?
・彼の営業成績は、ずっと目標達成しているが何が問題なのか?

上位職階へ上がりたいのは誰でも一緒ですが、だからといってみんな進級できるわけではありません。

職階が上がるということはそれなりに給料も上がるわけなので人件費の問題もあります。

もちろん、係長や課長にふさわしい能力を持っているというのが前提です。

その上で、同期の中での順位付け、部門の中での順位付け、 また頑張っているという中身、成績の内容など総合的に見て、いろいろな要素があっての結果だということの説明となります。


2.人事異動(進級)に関する不満への応対

相談者が本人の上司の場合、上司には次年度以降に向けた成長支援の方法を一緒に考えてあげるということが相談のポイントになります。

進級できなかった理由を他者と比較して列挙するのは、欠点を指摘するだけであまり意味がありません。

また他者と比較した場合、他者の評価を言うことはその上司と言い合うことになり、生産性の悪い話し合いになります。たとえば、

(人事部)「あなたの部下の○○君は、同期の△△君と比べ新規顧客の開拓力が弱いのではないでしょうか。△△君は、ここ数年新しい顧客をどんどん増やしています。それに比べ、○○君は積極性に乏しいのが数字からもわかります。」

(〇〇君の上司)「△△君の担当しているA地区は、ライバル社が進出していない無風地区で、いわば新規顧客は取り放題の地区なので数字が上がっても当然です。それに比べ、私の部下が担当するB地区は屈指の激戦区でその中で彼が達成した新規開拓は素晴らしいものがあります。」

といったやり取りを、進級結果の出ている時点で言い争ってもあまり意味がありません。

そこで議論すべきは、「積極性」という人物特性全体の問題として捉え、○○君が次年度以降成長し自社の押しも押されぬ中堅社員になるためには、そこをもう一歩踏み込んでどんな仕事もするようにアドバイスします。

「○○君は、確かに競争の厳しい地区で頑張っていると聞いていますが、彼は積極性という点ではまだまだ課題があり、今回の係長への進級は断念せざるをえなくなりました。たとえば営業スタイルでは・・・、またスキル面では・・・など、彼の課題はたくさんあります。」


3. 人事異動(出向)に関する相談

人事異動に関する相談で、中でも多いのが出向に関する相談です。これは、上司より本人が納得できることが第一なので、本人自身が相談に来ます。

出向は、入社した会社を離れ、子会社や関連会社とはいえ違う会社に行くことになるので、本人的には大きなインパクトがあります。所属する社名が変わるだけでなく、何より仕事環境が一変します。

人事異動が発令されて初めてわかるということはなく、内示の形で事前に辞令を受けることが多いのですが、社命なので断ることはないにしても一体なぜ自分が出向することになったのか、相談したいのは当然です。

具体的な相談内容としては、引越しを伴う出向であるかどうかが大きな関心事です。出向先の会社名を聞いてすぐに所在地がわかる場合もありますが、時には子会社の出先機関や業務提携をしている関連会社だと、具体的な行き先が一番不安です。

次に聞きたいのが、出向の目的と具体的な仕事、そして出向期間です。内示があった時点で、直属の上司から概略は聞きますが、出向の目的など会社としての戦略的な意味は、人事部から聞くことになります。

そして、何より聞きたいのが出向期間です。本体の会社に戻ってこられるのはいつか、これは相談者が必ず聞いてくる項目です。

実際には、会社的にはいろいろ思惑があったとしても、出向者に片道切符と思わせず、思い切り仕事ができるよう説明してあげる、ということが人事部側からの応対のポイントです。

4. コンプライアンスに関する相談と応対

コンプライアンスとは法令遵守のことなので、何から何でも人事部に相談がいくというものではありません。

しかし、時代の流れで最近特に増えているのが、セクハラやパワハラに関する相談で、これは多くは人事管轄です。

セクハラもパワハラも、それを受けた本人の衝撃度によって相談の深刻さは大きく違ってきます。

たとえば、ある男子社員が自分のパソコンの待ち受け画面で、好きな女性タレントのセクシーな水着画像にしていたとします。

それがどうしたの?と気にしない同性もいれば、それをいつも横目で見ざるを得ない隣席の女性社員が、職場に相応しくなく、同性として非常に嫌悪感を感じると訴えれば、ハラスメントとして止めさせることができるのがこのセクハラです。

言葉でも、「女のクセに」「男のクセに」から始まり、婚期に関してハラスメントの意識がまったくなく無意識に「遅れている」「まだ?」といった会話に、言われた相手が不快感を示せば、ハラスメントは成立します。

こういった相談が人事部へ持ち込まれ改善を求められたら、人事部(相談室)は、さっそく相手方(当事者)からも事情を徴収し、もし事実であれば改善を求められます。

この時、「じゃあ、これから気を付けますね。」だけでセクハラ問題が終わることはまずありません。

再発防止に向け、本人および職場の全員へ啓蒙活動を実施することになります。

パワハラも一緒です。部下に指示命令する時、「おい、〇〇(名前を呼び捨て)!お前は・・・」と言いながら呼びつけられたことに、非常に強い威圧感を感じたと相談があればパワハラとして、改善に向けた取り組みが要求されることになります。


人事部へ相談するときに気をつけておくこと

以上は、ごく代表的な人事部に落ち込まれる相談内容と人事部の対応です。

相談する人も、人事部に持ち込むとどういう対応をされるのかがイメージできたかと思います。

冒頭に整理した各項目の中にも、重い内容のものもあります。

しかし、気をつけておきたいのは、人事部に相談することは、会社へ不満を述べることではありません

それが愚痴としか捉えれないような相談は、結果的に悪い印象を与えてしまうことになり、マイナス評価となります。

あくまで、前向きな仕事改善のためであるというスタンスを忘れないことが大切です。

あなたの相談事がスムーズに解決しますように。