退職を慰留された…引き止めの断り方。スパっと辞める方法4

慰留を断るには? 仕事辞めたい

会社を退職したいと言えば、ほぼ必ず慰留されます。
 
何も言われずに退職届を受理されるケースはあまり多くありません。

会社にとってかけがえのないエース級の人材が引き留めされるのは当然ですが、それ以外の人もなぜ簡単には辞めさせてくれないのでしょうか。

慰留する会社側のホンネとタテマエを理解し、スマートに退職できる方法を紹介します。


[ INDEX ] この記事の目次

慰留の断り方~引き留め工作を振り切るには?

1.理論武装する

憲法第22条第1項には、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と規定されていることをしっかり認識しましょう。

労働者には退職の自由があり、退職にあたって使用者の許可を必要するような就業規則の規定は無効とされています。

その上で会社の就業規則の退職規定を確認してください。ちなみに厚生労働省のモデル就業規則には、
「退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して14日を経過したとき」
に退職となる旨が規定されています。

その解説には、

「期間の定めのない雇用の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができます。また、会社の承認がなくても、民法の規定により退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、退職となります(民法第627条第1項及び第2項)。」

と記載されています。

給与計算等の事情から1か月以上前に退職届を提出することを求める会社も多いですが、必ずしもそれに従う必要はありません。

憲法で認められた権利を行使する訳ですから、遠慮は不要です。

2.相談先を確保する

退職が憲法や民法で認められた権利であっても、簡単にはその行使を認めない会社もあります。

その場合は、以下のようなしかるべき機関へ相談することをお勧めします。

① 労働基準監督署

全国各地の労働基準監督署が相談に乗ってくれます。

相談先としては一番信頼できますが、かなり悪質でなければ一般論に基づくアドバイス程度の対応にとどまる可能性もあります。

・各地の労働基準監督署
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html/

② 労働組合

労働組合は労働者の権利保護のための組織なので、有力な相談先となります。

ただし企業労働組合の場合は、労使協調路線を掲げる“御用組合”が多いため、下手をすると会社の味方をしかねません。

その場合、個人でも加入できる産業別、地域別などの合同労働組合に駆け込むことが考えられます。

ただし、合同労働組合の中には必要以上に事を荒立てる方向に進む傾向の組織もありますので、その特徴をよく見極めることが大切です。

③ 弁護士・社会保険労務士

民間の専門家では弁護士が一番頼りになります。

社会保険労務士も労働制度には精通しており、軽い相談程度であればよいですが、それを超えたもめ事になると、解決の最適任者ではありません。

弁護士にも揉め事のジャンルによっていろいろな専門家がいます。

弁護士を紹介するサイトなどで下調べをしてから相談先を考えましょう。
・弁護士ドットコム https://www.bengo4.com/

スポンサーリンク

次の行き先を確保しておく

3.転職準備を先に済ませる

退職を切り出したその日に辞めても困らないように周到に準備することも大切です。

以下の作業を終えておけば安心して退職を宣言できます。

① 転職先の内定通知を得る

口頭ではなく必ず書面で内定通知をもらう必要があります。これは転職を前提に退職する際の絶対条件です。

また万全を期し内定通知書の本書だけでなく封書やそれまでのメールのやり取りもすべて保存しておきましょう。

② 社宅を出る

転職先の内定が確定したら、すぐに社宅を出る準備をしましょう。

なお、借地借家法第27条第1項では、「建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。」と規定しているため、退職後もしばらく社宅に住み続けられます。

会社の社宅規程にも同様のことが定められているはずです。

また、転職先が決まらずに退職する場合、無職の状態で新たに賃貸住宅を借りるのは、かなり難しいことがあります。

少しでもいい条件の転居先に移るためにも、勤め人の身分があるうちに、契約を済ませてしまいましょう。

③ 住宅ローンを切り替える

会社の福利厚生制度の住宅ローンを利用している人はその切り替えも必要です。

退職後の手続きも可能ですが早めに準備しておく方が無難です。

また福利厚生による支援がなくなることにともなう返済金の増加額を早めに把握することも重要です。

④ 子供の転校準備をする

お子さんがいて転居が必要な場合は、子供の転校準備も早めに始めましょう。

住居や学校など生活基盤の見通しが立たない中で退職を慰留する会社と交渉することはかなりの精神的な負担になります。

退職願と退職届の違いを知る

4.退職届を出す

ここまでしっかり準備ができたら、いよいよ退職届を出します。

なお、「退職」と「退職」では、効力が違います。

退職」は退職したいと伝えて打診している状態。

一方「退職」は(自分の中で)退職が決定していて、それを届け出るという意味です。

「届」を出したらもう自分から後戻りはできません。


退職手続きを完璧に行いスムーズに辞めるには?

さんざん慰留された後に気を使って会社を辞めることには腹も立ちますが、先々のことを考え我慢して以下のことをやりましょう。

1.可能な限り円満に退社する

とにかく円満退社を心がけましょう。

ケンカ別れになると後々悪口を言われたり嫌がらせをされたりする可能性が高まります。

最悪の場合は訴訟を起こされます。自分に非はなくてもニッコリ笑って円満に去ることが大切です。

2.退職届をきっちり提出する

退職届は退職予定日の1か月以上前に提出するのがよいでしょう。

法令上は14日前で問題ありませんが、給与計算などの事務手続きや担当業務の引継ぎを考えると最低でも1か月前までには正式に退職届を出すことが望まれます。

なお、上司がなかなか退職届を受理しない場合は、内容証明郵便で人事部あてに直接郵送しましょう。

・内容証明郵便 http://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/index.html

「退職届を内容証明郵便で送付する」には


職場に迷惑をかけずに退職するためには

3.担当業務の引き継ぎを完璧に行う

担当業務の引き継ぎも万全に行いましょう。

きちんと行わないと、「引き継もせずに逃げるように辞めた」と悪口を言われたり、退職後にも呼び出されたりする恐れがあります。

4.備品、データ、書類等の引き渡しを漏れなく行う

備品、データ、書類等の引き渡しもしっかり行う必要があります。

これらに漏れがあると盗難とか機密情報漏洩を問われるリスクが残ります。

立つ鳥跡を濁さず。あとになって揉め事にならないようにキッチリ処理しましょう。

さて、手順を踏み、書類の手続きをきっちりしても、会社、上司はいろんな方法であなたを慰留しようとします。

会社の引き止め工作を振り切るにはどうすればいいのでしょうか?

「部下の退職」よくある説得方法

退職を思い止まらせようと、会社はあの手この手で引き留め工作にうってでます。

ここで懐柔されてしまわないように、よくある慰留方法をあらかじめ理解しておきましょう。

1.情に訴える

「キミには人一倍目をかけてきたのに」とか、「将来の幹部候補として期待してきたんだ」などと情に訴えてくるパターンです。

泣き落としにかかってくるような上司もいます。

しかし、具体的な内容が乏しい場合は、情に訴えるフリをしているだけなので騙されないよう注意しましょう。

2.異動の口約束をする

1年以内に希望の職場へ異動させるなどと約束する手もよく使われます。

しかし直属の上司が部下の人事異動に関し強い権限を持つケースは少ないため、大抵は“空手形”で終わります。

絶対に信用してはいけません。

3.待遇改善の口約束をする

これも空手形の場合が大半です。

中小企業の社長でもない限り、独断で昇格や昇給などを実行できません。「来年には必ず課長にするからもう少し我慢してくれ。」と言った部長が先に転職してしまい約束が反故にされるなんてこともあります。

4.同僚に迷惑がかかると脅す

「キミが辞めると同僚の負担が大きくなる」とか、「周囲に迷惑をかけて辞めることはマナーに反する」と言って圧力をかける上司もいます。

これらは人事管理も含め上司が業務全体を上手く管理できない責任を転嫁するための発言なので気にしないようにしましょう。

迷惑をかけているのは上司の管理職としての能力の無さの方です。

5.出身校に迷惑がかかると脅す

新卒で入社し数年で辞める場合は母校に迷惑がかかるといって脅されることもあります。

特に理系の人は研究室の教授推薦で就職する場合が多いでしょうから、多少は気にせざるを得ないかもしれません。

でも、後輩の人生より自分の人生ですから。

会社の方も優秀な技術者の確保には苦労していますので、あなたが辞めたからといってその研究室や大学から採用がなくなるということはまずありません。

6.転職先に苦情を通告すると脅す

転職先を知られている場合は、「引き抜きに合って迷惑を被っていると通告する」と脅される可能性もあります。

ひるむ必要はありませんが、無用なトラブルを避けるためにも転職先を告げずに退職することが得策です。

7.退職届を受理しない

いろいろと理屈をつけて退職届を受理しないという嫌がらせもあります。

有名大企業でもこうしたムダな手段を使う人がみられます。

退職届が受理されなければ手続きが進みませんので、話し合いで解決しない場合は先に紹介した強行手段をとることになります。


上司が退職を慰留する理由

こっちは辞めたいという意思を明確にしているのに、会社はなぜ引き止めようとするのでしょうか?

1.足元の仕事が忙しい

とにかく足元の仕事が忙しい“猫の手も借りたい”ような職場では、よほど問題のある人でない限り必ず慰留されるでしょう。

こういう職場では退職を申し出た当人の都合をまったく考えずに慰留することが多いので、退職期日を明確に伝えることが重要です。

2.補充人員の採用が難しい

ブラック企業と呼ばれて採用が難しくなっているような企業ほど辞めたい人は多いので、会社からは、「とにかく辞めないでほしい」と慰留されます。

また、外食産業やコンビニなど多数のパート、アルバイトを雇用している会社は、景気が上向くと急激に人手不足に陥る傾向があります。

3.特定業務を丸投げしている

特定の業務を1人の担当者へ丸投げしている場合は、代わりになる人を簡単に探せないため、確実に慰留されます。

中小企業やベンチャー企業に多くみられるパターンです。

こういう会社に対しては、その気がなくても退職をチラつかせて有利な待遇や労働条件を引き出す…という強者もいます。

4.上司の管理責任の回避

最近は少なくなりましたが、部下が退職すると上司の管理責任を問われる企業では、「とにかく(俺が異動するまで)辞めるな!」と言われるでしょう。

こういう体質だから部下が辞めたくなるのだと思いますが……

5.訴訟などのトラブル対策

“会社が退職へ追い込んだわけではない”という言い訳をするため、形式的に慰留することもあります。

パワハラやセクハラの被害がウワサされる人や、会社や上司の方針に反抗的だった人が退職した後にトラブルとなることを防ぐことが狙いです。

6.他の従業員が連続して退職することを回避する

会社の経営状態が良くなかったり経営陣に対する信任が低下したりしている場合、1人の退職が契機となり不満を持つ人たちが雪崩を打って退職することがあります。

こうした連鎖退職を防止するため、なかなか退職届を受理しないケースもあります。

7.“部下を連れて独立”の阻止

あなたが職場のリーダー格で、“部下を引き連れて独立!”……なんてことを疑って(事実そうかもしれませんが)引き止められることもあります。

8.嫌がらせ、嫉妬

有名企業へ転職する部下への嫌がらせや嫉妬心から慰留する上司も少なくありません。

周囲から妬まれる可能性のある会社へ転職する場合は、最後まで行き先を黙っていることが賢明です。

9.営業実績がずば抜けている

当たり前ですが営業実績がずば抜けているエースは慰留されます。

それを振り切って辞めようとするとさまざまな嫌がらせを受ける可能性があります。

10.技術力がずば抜けている

技術部門のエースもかなり熱心に慰留されます。

営業・事務系よりも技術系の人材の方が会社の将来を左右する可能性が高いため、それに応えず退職すると一段と厳しい嫌がらせを受ける恐れがあります。

10.機密情報の流出防止

法律や契約により機密情報の流出を食い止めることはできますが、個人が身に着けたスキルやノウハウの流出は避けられません(すべてを入社前の状態にリセットさせることは不可能です)。

それを少しでも嫌がる部門では必ず退職希望者を引き留めます。

11.採用コストをかけたくない

採用にはエージェントの活用、広告の出稿、面接・筆記試験・技術試験の実施、内定通知の発出、法定福利費の計算などに関する多くの費用を要します。

それらを増やしたくないので今の社員に辞めてほしくないという会社もあります。

「お前を採用するのにいくらかかったと思ってるんだ!」とか言われます。

12.教育コストをかけたくない

新たに人を採用すれば何らかの教育が必要です。

新卒で入社した人なら、社会人としてのマナーからセキュリティカードの使い方や勤怠表の記入方法など日常業務の手続きに始まり、業務部門ごとの仕事の手順や基礎知識などなど、すべてを一から教わったはず。

当然それには教育コストがかかっています。

新しい人を雇えたとしても、またそれを一から教えなければならないため、今の社員にとどまってほしいと考える会社もあります。

13.有力取引先の親族だから

有力取引先の親族を“人質”として採用した以上、簡単に退職を認められないという発想です。

特に会社への不満が原因で退職されると、今後の取引に影響する恐れがあるため、とにかく慰留しようとします。

慰留工作に負けずに退職の意思を貫くには

会社というのは、リストラで希望退職者を募集しているような状況でもない限り、社員が辞めようとするのを引き留めるものです。

まずは、そのことをしっかり認識しましょう。

あなただけが特別に引き留められているわけではないのです。

転職しようと思った人、退職して新しい人生を歩もうと決めた人、ほとんどの人はその時に慰留されました。

それを振り切ったから未来が開けたのです。

どうしても仕事を辞めさせてくれない場合の対処法は、
仕事を辞めさせてくれない…絶対に退職する方法

会社を辞める理由をどう告げるかは、
>会社を辞める理由10…嘘も方便、ホンネとタテマエ具体例

試用期間中に辞めたいと思ったら、
試用期間中に辞めたい!入社直後に退職する決断ポイント4

逆に辞めたがっている社員慰留したい時は、
部下・新入社員に「会社を辞めたい」と言われたら…どう対応すべき?

あなたが会社や上司のしつこい慰留を振りきって、円満に退職できますように。