経営幹部に必要な能力「人脈」。40歳、ここから経営幹部になるには ②

経営幹部に必要な人脈 40代

前の記事では、経営幹部になる要素として、部下からの押し上げ、また上司や経営トップからの引っ張りなど他力をバネにする方法を紹介しました。

今回は自力、つまり自分の力で這い上がっていく方法についてお話ししたいと思います。そのひとつが人脈です。

人脈は、ビジネスマンにとって大変に重要な要素です。

仕事をしようとする時、「知っている人」がいるといないで、仕事の進捗に大きく影響します。

しかし、ここで大切なことは何のための人脈かということです。知っているだけでは、何の役にも立ちません

そこで、人脈作りに「明確な目標」を意識した時、単に「知ってる」から、「困った時に助けてくれる人」「有効なアドバイスをくれる人」「決定権を持っている人につないでくれる人」など、より仕事に密着した実践的な人脈になることができます。


1.実績(業績)作りのための人脈

では、「明確な目標」とはどんなことでしょうか?

もちろん、今回のテーマである「経営幹部になるには」が先にあるのですが、その前段階として、まず「仕事の実績(業績)づくりのための人脈」についてお話ししたいと思います。

仕事の目標を明確にし、目標に向かって人脈をどう作り、どう生かすかと考えるとなかなか面白いものがあります。

あまり媚びへつらわず、お互いギブアンドテイクの関係でネットワークを作っていくといいでしょう。

① 経営幹部を目指すには「ヒト・モノ・カネ」の視点

会社の中で仕事をする時、社内の各部署との連携がなくては仕事にならないというのは言うまでもありません。

たとえば、自分が営業部員として課題を達成しようとする時、顧客への売り込みだけが仕事ではないことは十分理解していると思います。

経営はヒト・モノ・カネと言いますが、たとえ営業の仕事であっても経営的観点からこの3要素を叩き込んで仕事をします。

通常の営業活動なら地道な訪問やアフターサービスなどで顧客をつなぎとめ、コツコツと売上を積み上げていきますが、経営幹部を視野に入れるとなると、ヒト、モノ、カネを集めてある程度の規模の仕掛けをして実績(業績)を作る必要があります。

単に与えられたモノだけを使って営業成績を上げているだけでは不十分なのです。

この時に必要になるのが社内ネットワークで、それをつないでいくのが人脈です。

たとえばライバル社を一気に突き放すために、ライバル社の強いマーケットに集中攻撃をかける企画案をヒト、モノ、カネから考えてみましょう。

1ヶ月の間に100件の新規販売を目標にしたキャンペーンを計画したとします。

そのためのターゲットとなる顧客500人を選び、個別訪問を計画します。

この時、現状の営業マンに加え応援部隊の要請をどうするかというヒトの問題、次に、製品カタログの増刷経費をどうするかというカネの問題、そして新規顧客が100件獲得できたとして、納品する製品の増産体制というモノの問題が浮上してきます。

営業が考えた企画に対して、あとはそれぞれの所轄部門がちゃんとやってね、では企画は成功しません。

そのためには、いわゆる根回しで上記の問題がクリアできるように道筋をつけておきます。

ここで人脈の有り無しが計画の実現に大きく影響します。通常の正面からの依頼だと、

「そんな見通しの甘い営業計画に出すカネの余裕はない」

「ただでさえ要員体制が厳しい時に捻出できる要員はいない」

「生産計画の変更は役員に言ってよ」

などと、まともに受け止めてくれません。

②人事部門とのネットワーク

さて、ここから実績づくりのための「実践的人脈づくり」を説明しましょう。

まず最初に押さえておきたいところは「ヒト」を扱う部署、人事部との人脈です。

人事部の仕事は、人事異動や給与のことだけをやっているわけではありません。

人事部は全社的なヒトの配置を俯瞰していて、各部署の繁閑度合や要員の過不足を見渡せる位置にいます。

簡単に言えば、会社内の総人件費をコントロールしながら、要員が余っていないかとか、この部門は繁忙期が終わって余裕があるなぁといった観点で全体を見ています。

しかし、仮に余剰人員があったとしても、彼らは自分たちの力だけでこの要員を使って利益を生むことはできません。

そこへ、営業部から会社の収入増につながる応援要請があって、自分たちの要員のやりくりで利益貢献できるとわかったら、前向きな協力を惜しまないという体質があります。
いわゆる、大義名分ができたというわけです。

そのために、人事部の中に人脈を作っておくと営業にいながらにして、会社全体の要員体制を俯瞰することができ、この大義名分を言ってあげるとタイミングよく応援要請を取ることができます。

人事部であっても会社事業や営業に無関心でいられるわけではありません。

中でも、「営業こそ企業活動の根幹」と、営業活動に理解のある人事部員は、収入増につながるならと乗ってくることでしょう。

③財務部門とのネットワーク

次に、カネに関して融通を利かせる人間とのネットワークは、ヒト同様非常に重要といえます。

カネを管理する部署は、「無駄」に対しては非常に厳しくなります。また、無計画さを嫌います。

しかし、何も動かずにじっと金庫の番をしているような部門にはなりたくないと思っています。

そこである程度の収支勘定ができて、生きたカネが使えると判断したら経費として認めてくれ、また一歩進めば投資として認めてくれるというのが財務担当者です。

ここへのネットワークがあると強い味方になります。家庭生活で言えば、奥さんが財布を握っている…と金融機関と同じく困った時にお金を貸してくれるわけです。

しかし、銀行もそうですが、担保なしではお金を貸してくれません。

この時の担保になるのが人脈です。

誰彼となく貸すのではなく、「お前だから信用して貸そう!」という“信用”“付き合い”が担保になって動いてくれます。

「よく知っている君だから今回は経費として認めよう!」となり、少なくとも前段のような「そんな見通しの甘い営業計画に回すカネはない」などと皮肉を言われることもありません。

それから注意点が1つあります。それは、立場や役職によって個人判断で動かせる金額がだいたい決まっているということです。

係長級ならいくらだが、それ以上だと上司の決裁がいるといった具合です。ここを良く踏まえて依頼するレベルをよく考えることです。

④生産部門とのネットワーク

モノを供給してくれるのは、生産部であったり購買部、資材部であったりと業種によってマチマチですが、ヒト・カネが用意でき計画が動き出してもモノが手配できずに頓挫することもあります。

生産部や購買部は一見地味ですが、彼らは彼らなりのプライドを持って仕事をしています。

つまり、社命=トップダウンであればどんな手を使ってでも物品の供給を間に合わせようとします。

しかし、ここも大義名分が必要で、工場を計画以上に動かすには上層部の許可をもらわなくてはならないというのが普通です。

また、資材部や購買部と言っても実際には在庫以上のモノが必要となると新たに購入しなければならなくなり、当然資金が必要になります。

この資金を購買部経由で財務管理へ申請するのか、直接財務部門への申請がいいのかまちまちですが、どの方法がいいのか教えてくれるのも人脈です。

「生産計画の変更は役員に言ってよ。」と言っていた担当者が、もし日頃から懇意にしていたら、「計画は理解したから、担当役員へは俺から伝えておいてあげよう」と言ってくれるのも人脈あればこそです。

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2.社内人脈の作り方

社内でヒト・モノ・カネを扱う部門が何を基準に仕事をしているか、そしてそこにネットワークを貼っておくことが「実績作り」に必要かをおわかりいただけたかと思います。

それでは、具体的にどのようにして人脈を作るのか説明しましょう。

「今度こんな企画をするから、その前に人事部員と親しくなっておこう」ではなく、正確に言えば、「作る」というより「育てていく」といった感じです。

まず、人脈作りの“きっかけ”としては以下のものが代表的です。

① 同期入社

② かつて一緒に仕事をした時の同僚や後輩

③ 学生時代の同窓生(先輩、後輩)

④ 趣味その他で知り合った知人

いかがでしょうか。一緒に仕事をする上でなんとなく安心感があり、頼みごとをしやすい人、聞き入れてくれそうですよね。

しかし、打ち合わせや交渉している時に、突然「学校の後輩だよね」、と言っても唐突過ぎます。
これが、「育てていく」という意味です。

①同期入社を大事にする

いざという時に人脈が有効に働くには、常日頃からの“仕込み”が必要です。

中でも同期入社は、入社以来、苦楽を共にしてきたので1番安心して相談できるメンバーです。

会社内でよくあるのが「同期会」です。定期的に懇親会を開催しておくと友好感が深まります。

基本的な人事政策として、同期入社のメンバーは配属部門をバラけるようにしているので他部門の情報を入手できる強みがあります。

違った職場で働いていると、やはり知らない情報がたくさんあり情報交換にはもってこいです。
できるだけ、お互いの職場事情について話し合うといいでしょう。

これは、将来的に幹部となった時、全社的な立場から前段のような大きな仕掛けをする時に協力体制を取ることができます。

ただ、年齢的に40歳を超え出すと少しニュアンスが変わってきます。
つまり、ライバル意識が強まってくるからです。

お互いが同じ階級ならいいのですが、いわゆる進級や昇格で差が出てくるとちょっと敬遠し出す年齢でもあります。

これが「確執」や「嫉妬」にならないようにするには、たとえ先に昇格している同期の友人がいても拘らず、「割り切って付き合う」ということを肝に命じておくことです。

特に経営幹部を目指すならなおさらです。むしろ、同期と一緒に経営幹部になってこの会社を支えようするぐらいの気概が必要です。

②以前、一緒に仕事をした時の同僚や後輩

同期入社同様、若い頃に同一職場で先輩・後輩、あるいは上司・部下の関係で一緒に仕事をした間柄は、強い連帯意識が生まれます。

もちろん、何年後かには別々の職場へと別れていくのですが、大切なのはその後もなんらかの接点を持って付き合いを続けておくことです。

社内外での挨拶はもちろんですが、たまには近況報告的に朝のティータイムや食事など親交を深めておくことです。

特に大事なのは、彼らの動静に注意を払っておくことです。つまり、彼らの人事異動、転勤、昇格などの情報にアンテナを張っておきます。

たとえば、先輩が他部門や他支店で昇格したと聞けば、必ずお祝いの言葉をかけたり、お祝いの席を設けたりして祝ってあげるようにします。

中でも特にお世話になっている先輩などであれば、転勤に記念の品などを餞別で贈ったりすると喜んでもらえます。

③学生時代の同窓出身者(先輩、後輩)

同じ出身学校のOB同士は、また違った意味で会社内での親交を深めるきっかけになります。いわゆるOB会と称して定期的に集まる機会があれば、参加しておくことです。

懐かしさもありますが、同じ学校のOB同士というのは特に先輩は後輩を可愛がってくれるものです。

ちょっと注意したいのは、あまり繋がりが強くなりすぎると、いわゆる学閥という言い方で敬遠する会社もあります。

つまり、仕事の実力とは別にOB会の繋がりだけで“群れる”のは会社風土としてはよくありません。自分の実力もないのに、先輩後輩だからといってすり寄ることは逆効果となります・

④趣味その他で知り合った知人

会社によっては、趣味の同好会のある会社もあります。仕事を離れて好きなことを一緒に楽しむ会として楽しいものですが、結果としてネットワークが増えることは嬉しいものです。

特にスポーツ系は休日を使って友好を深めるのに適しています。

ゴルフ、サッカー、野球、テニスなどするスポーツから、観戦するのも楽しいスポーツもあります。

学生時代にやっていて、最近ご無沙汰していても、社内で同好者を見つけたら何人か集めて誘ってみるのもひとつです。

また、仮に何もしていなかっても日頃の運動不足の解消との一石二鳥で、始めるのもいいでしょう。

スポーツのいいところは、自社内だけに限らず同好者であれば、自然と他社の人達とも意気投合することになります。

経営幹部ともなれば、スポーツができるというのは、他社幹部と友好試合に参加できるなどメリットが多くあります。

経営幹部になるには人脈が重要!

いかがでしたでしょうか。

こうした社内でのいろいろなネットワークを広げておくと、前段のように何かを企画した時、必ずポイントとなるポジションに知人がいるようになります。

仮にいなくても、知人の知人が要職にいるというまさに“脈”が繋がるというのが「人脈」です。

人脈とは「社内政治」といった表現で言われる場合があります。日本的経営の「根回し」や「事前調整」で人脈を有効に使うことが「社内政治」です。

冒頭ギブ&テイクという言葉を使いましたが、人脈を通しての仕事は「お世話になる」「助けてもらう」ことで、次の機会には「お世話する」「助けてあげる」ことになります。

会社は議決ルールや割り切った関係だけで動いているわけではありません。特に経営レベルの政策や意思決定は、大きな政治力で動きます。

自分が経営幹部になった時に、この政治力を生かせるどうかは、40~50歳代の仕込みによります。

一朝一夕にはいかない社内の人脈づくりですが、これから上を目指すためにはぜひとも積極的に動いてみましょう。

 

経営幹部になるにはシリーズ記事

続きは、
第3回「経営幹部に必要な能力「社内政治」。40歳、ここから経営幹部になるには③

・バックナンバー
第1回「経営幹部に必要な能力「人望」。40歳、ここから経営幹部になるには①
 
あなたが経営幹部にふさわしい人脈が得られますように。